言葉の旅人

葉🌿を形どって、綾なす色彩に耽溺です。

安寿と厨子王

2006年11月08日 | Weblog
 この像がある所は、丹波路を若狭路へと踏み入れた高浜町。
 それも、音海の大断崖へと北に進路を取らなければならない。
 難波江を過ぎて、湾に少し突き出した崖道の側に立っている。
 わざわざ寄るべくして寄らない限りは、目にすることはない。
 「山椒大夫」の主人公姉弟にとっても、親不知でさらわれ丹後由良海岸へと移送される時、一時的に一晩を過ごしただけの単なる波避けの為の岩場でしかないのだ。
 物語上に於いても何ら意味を持つわけでもないのに、何故か不思議なことにこの様に立派な像が造られ、しっかりと建てられてある。
 此路を更に辿ると、若狭湾一帯に集中建設された原子力発電所の最西端にある‘高浜原発’に至る。
 従って、辿る道も立派な訳である。
 そこで左手に見えてくる海は、音海を東にし、鎌倉集落を東に持つ福井県の西に果てる。
 ちょっとした入り江を形成している。
 原発の排水を一気に引き受けている為に、その海の海水温は異様に高い。
 一週間ほど滞在して、毎朝5時からのお寺の勤行の鐘に目を覚ますという旅の空寝をしたのだ。
 寺に生える‘ドクダミ’を乾燥したものを、胃腸薬として売って寺の経済の足しにしていた住職はどうしているのだろう?
 既に久しくなっているのだが。

 秋には珍しくカラリと晴れた陽射しを浴びながら道を引き返し、国道27号線へと戻った。

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