Ryo徒然なるままに

日々の暮らしを徒然なるままにつづる。
何でもありの日記のようなもの・・・

ボッソウでの生活 再び(その7)

2006年09月06日 | ギニア
2006年9月6日(水)

今日はマルシェだというのに作業を続ける。
ランクルが今日から使えないので、トラクターに資材と人を満載にして現場へと向かう。
ボクは昨日言い争ったイバのバイクの後ろにまたがって現場へ行った
途中、振り落とされはしないかと思ったのだけれど、さすがにそこまですることもなかった。

トラクターはトロトロとNyonを過ぎてコリドー径へと入り、ボッソウ(ゲイン山)に最も近い現場の横をすり抜けてネピアをかき分けて進んでいく。
ボッソウから近いからここまでは歩いてきても良いとは思うのだけれど、誰も歩こうとはしないところがギニアらしい・・・
ボクはバイクにまたがってネピアの株の上をぼこぼこと乗り越えていくものだから、周りを見ている余裕もない。

しばらくするとトラクターが止まった。

荷物を下ろして、その荷物を頭に載せて人々がドンドン移動していく。
ボクも着いていこうとするがダウカ(今回のチューブ設置にはダウカも参加した。前回は参加できず、ふてくされていた)が話しかけてくる。
フランス語は分からないのだけれど・・・
と思ってよく聞いてみると英語だ
ダウカ、英語ができるのか?初耳だ・・・
いつ帰るのか?何処で働いているのか?などなど。
結構、英語ができる。
こいつ、くせ者だ・・・
たぶん、英語が分からないと思ってあまり聞かれると困るような話は英語で会話していた人もいるんじゃないかとおもうのだけれど・・・

いつまでも話していても仕方ないので、現場へ向かうことにする。
ネピアをかき分けて歩いていくとしばらくして川に差し掛かった。
でも、橋がない
川にぷかぷか10cmから15cm幅くらいの板が浮かんでいる。
どんなセンチュウやどんな菌がいるか分からない川の水にじゃぶじゃぶ入っていくのはとても気持ちの良いものではない。でも、ここを超えないと現場にたどり着けないことには変わりはない。仕方がない・・・No Way・・・

「じゃぶじゃぶ・・・」

支えがないから踏むと当然沈む。
意味がない・・・
と思っていたのもつかの間。

板から足を踏み外すと、

「ズブズブ・・・」

と足が沈んでいく・・・
川底がぬかるんでいるか何かで、そのまま歩いたら沈んでしまうから板が置いてあるのです。

その後、ネピアをかき分け、河畔林を抜けて現場にでる。
ここは一体何処なのだろう・・・
場所の特定にしばし時間を費やす。
全く、GPSを持ってくればこんな事にはならなかったのに、忘れてしまったのだ。
出かけるとなると何か忘れる。悪い癖だ・・・

場所の特定が終わると、チューブの組み立て、設置、樹高マークの書き込みを行う。
この現場はコメとマニオクを栽培している農地らしい。
背の高い前歯のない兄ちゃんが
「ここはオレの畑なんだ」
と自慢している。
たしかに良い畑だと思う。
その後、作業中に背の高い前歯のないあの兄ちゃんが
「助けてくれよ」
と声を掛けてくる。
何かと思えば、
「今週の月曜日にばあちゃんが死んだんだ。100歳近かった。大変なんだよ。気持ちだけで良い。2000円で良い。日本人は金持ちなんだろ?」
という。
冗談じゃない、2000円といえばこっちの人たちの半月分近い収入だ。
そんなお金をホイホイ上げるわけにはいかない。
しかも、百歳近くまで生きたのだから天命を全うして幸せだったじゃないか。
「君はこんなに良い畑を持っているし、家もあるんだろ?ボクは家もないし畑もない。日本人だって多くの人間は苦労しているんだ。だからあげられない」
といって断る。

作業は続くが“かけや”が一つ足りずにはかどらない。
昨日作業を始める前には5個渡したはずなのに、4個しかないのだ。
ブナは、
「ハンマーが一つ足りないので作業がはかどらない。何とかして欲しい」
というが、なくしたのはボクじゃない

ま、ブナは一生懸命働く良い奴だし、そういうやつに仕事がはかどらないと言われたら何とかしたくなるのが心情だ。
昨日の現場に置き忘れているに違いないので、探しに行くといって、道案内を一人つけてもらって探しに出かける。

ネピアが繁茂する中をかき分けて、かろうじて径らしき径を探して歩いていくギニア人(名前を聞くのを忘れた)。
気が付くと、ベストがボロボロになってきている。
ネピアは葉に毛が付いていて、この毛が結構固い。
葉も固くて、半袖なんかでこの中を歩くと血だらけになりそうである。
実際に、肌が露出した部分には切り傷がたくさんできる

必死の思いで昨日の現場に着くと、“かけや”を探して回る。
しばらくすると、
「ピーピー」
と鳥が鳴くような声がする。
何か獣がいるらしい。
ふと気付くと、道案内に来ていたギニア人が「Viande(ヴィアンドゥ)っていう獣だ。まだ子供だけれど」
といって握りしめている。
一体いつの間に捕まえたのか・・・

イタチのような獣だが、爪が長く、土中で生活している獣なのかも知れない。
こんなものを簡単に捕まえてしまうなんて・・・
だからこのサバンナには獣がいないのか・・・
牛田先生が言っていたようにもしかすると大きな動物はみんな食べられてしまったのかも知れない。
もしかすると、昔はここにキリンやシマウマがいたのかも知れない・・・
ここの人々は骨まで食べてしまうから、昔生息していた動物の痕跡を探すのは大変かも知れないなぁ。

それはさておき、何とかかけやを探し出して、そのかけやを作業中の現場に持って帰ってもらう。
(そういえば、彼は帰りしなには手ぶらだった。きっとビアンドゥはポケットに入れられたのだ。この日の夜の食卓に上がったに違いない・・・)

ボクは、かけやが置き去られた現場に残って、昨日残した樹高マークの書き込みとナンバリングを行うことにした。
中途半端に仕事を残していくことを何とも思わないギニアの人たちにつき合っていても仕方がない・・・。
せっせと作業をしていると、樹高測定チームがやって来た。

アレクシーが
「今日はみんなは酒を飲んだのか?俺たちは呑んでいない」
と文句を言う。
仕方がないので1000FG札を2枚渡す。
20数人の酒代(2日分)として16000FGを山越さんが渡したと言うから、それからすると渡しすぎではないかと思うくらいだけれど、アレクシーは
「俺たち3人なんだけれど」
とかいう。
要するに、3000FG渡せと言うのだ。
何て厚かましい奴なんだ・・・
要らないなら返してもらっても良いけれど、というと
「いや、そんなつもりじゃない」
といってニヤニヤしている。困ったもんだ・・・。

彼らは休憩し始めるが、それを尻目にボクは作業を続ける。
植栽された木々の列は途中でなくなったり、
途中で横の列と合流していたりとかなりややこしい状態になっている。
別に、幾何学的に植える必要はないと思うけれど、中途半端に幾何学的になっているから余計にややこしい。
やれやれ・・・

何とか作業を終え、元来た道を戻ろうとするが、何処を歩いてきたのか分からない。
下手に無理矢理歩いていくと迷子になりそうなので途中で諦めて、遠回りではあるけれどコリドー道(車が通れる通り)に戻る。
道中、遠くで雨が降っているのが見えたので急いで戻ろうと努めるけれど、ダメだった。
ひどく降られ、全身ずぶぬれになる
カッパはリュックに入れたままで、戻るべき現場に置いたままになっている。
やれやれ・・・

何とか現場に戻ると、驚くべき事にまだ作業を続けているではないか。
全員ではないにしても作業を続けていると言うこと自体が信じられない。
どうやってもボクたちがいる間に規程本数を設置してしまいたいらしい。
もう16時を過ぎていた。

しかし、作業がはかどらないのは変わりない。
好き勝手にランダムにチューブを設置していくものだから、あちらこちらに抜けがあって、そこにチューブを設置していく上に資材の移動も気分で行うから、あっちこっちで
「ピケー(支柱のこと)」
とか
「チュー(チューブのこと)」
とか叫んで立って待っている。
自分で取りに行けばいいと思うのだけれど、そんなことはしない。

そういえば、雨でボクのリュックはずぶぬれになっているんじゃないかと思って
「ボクの荷物は?」
と聞くとブナが
「ボクが背負っている」
という。
ボクのリュックを背負ってその上からカッパを着て作業を続けていてくれたようだ。
彼は熱心だし、とても優しいのだ
前回、ボッソウを訪れたときには皆にからかわれていたという印象しかなかったのだけれど、彼が優しいから文句をあまり言わないし、文句を言っても親権に取り合ってもらえないと言うことが原因なのかも知れない。
18時半まで作業を続けて、それで今日の作業は終了した。
ボッソウまでは歩いて帰ったのだが、ブナは何かと英語でボクに話しかけて退屈しないように気を遣っていてくれた。
ひどい一日だったけれど、少し救われたような気がした

【仕事の備忘録】
ところで、今日の現場は植栽間隔が狭められていた。
これまでは5m間隔で植栽されていたのだけれど、前回の訪問時に、早く木を大きくして早く林冠を閉鎖させてネピアグラスを被圧した方が成功しやすいのではないか。
例えば2m間隔にするとか・・・
とクルマ所長に提案したのだけれど、その提案を実行していたようだ。

疲れて帰った日に限って夕食がつらかった
ネズミの臭いがするのだ
翌日タチアナがニョンコに確認したところ、ある実を使ったのだそうだが、臭いが強く、その臭いがネズミに似ていたのだ。
さすがに去年食べたネズミそのものよりもずっと臭いは少なかったが、とてもじゃないけれど食べられなかった
清野さんも
「これは食べられない
といってギブアップしていた。
「楽しみ~♪」
といっていたけれど、本当のネズミはとてもじゃないけれど一口も食べられなかったのではないかと思う。
結局、昼食べなかった分のラーメンを食べて寝ることにした・・・