殿山泰司のJAMJAM日記を読んでいたら思い出しました。新宿のんべい横丁、いやのんべい横丁は渋谷、新宿だからしょんべん横丁、すなわちハーモニカ横丁か。自分で行った記憶があるような、無いような。
同級生がそこで飲んでいたところ、よれよれのおっさんが飛び込んできて、カウンターに50円玉をバチンと置き、「アリス・ホワイトの中!」。
ハイヨッと目の前に出されるとグイッと一息にのみ、ごっそさん、といって出ていったと。同級生は口を開けてみていたそうです。
日本橋三越でアルバイトをしていた時、なぜか酒の試飲コーナー。
マイ水筒を持参して試飲の酒をなんでもいいからごちゃ混ぜに詰めて持ち帰る人もいるんですね。ある日来たオヤジは「シュインはここですか?」シュインなんかしていません、試飲です。そのオヤジ試飲の紙コップを手に取りますが手はブルブル震えています。それが酒を注ぐと震えがピタッと止まります。是もそこでグイッと一気に飲むと何事もなかったように去っていきます。なるほどアル中とはこういうものか、と思いました。試食コーナーで箸入れからマイ箸を取り出して食べるおじさんもいました。今はコロナ禍で試飲、試食もやっていませんけどね。日本橋三越、社員食堂は広くて汚い所でした。
羽田空港の発着ロビーでコートを羽織った白髪ボサボサのおばさん、ウヰスキーのポケット瓶を瓶についてくるプラスチックの小さい蓋の様な容器でチビリチビリと飲んでいます。片手にはなにやらレトルトのパック。パックにはスプーンが差し込んであり、それをチビチビとなめながら口に運びます。なんのレトルトだろうと思ってチラッと見ると、それはボンカレー。レトルトカレーを小さなスプーンで口に運びペチャペチャ舐めながらウヰスキーを口に運ぶのでした。
このおばさんをもっとやつれさせウイスキーとレトルトカレーを手にした姿を思い浮かべてみましょう。
ウヰスキーとは別の話になりますが、昔社員旅行で、ずっと昔いた会社はかつては社員旅行も毎年あったのですよ。毎月3,000円積み立てで旅行当日全額帰ってくるのです。旅行は全額会社負担。確か、従業員の50%以上参加で一人200,000円未満なら経費で落とせた時代だったと思います。だから沖縄三泊四日なんて旅行もありました。のちに変わった社長が、社員旅行に行くと取引先からねたまれるからという理由で中止になってしまいましたが。ッと、前置きが長くなってしまいましたが、そう、その社員旅行で夜行列車に乗り早朝上野駅の、今、四季島の発着ホームになっている番線、に到着した時の事。旅行代理店より朝食の弁当が支給されます。旅慣れない連中はとても弁当は食べきれず、ホームの屑籠へポイッ。するとそれを待ちかねたように浮浪者がワサワサと群がり屑籠の弁当を拾って食べはじめます。それを見ていた弁当を捨てたおっちゃん、おもわず、ウエッ、ゲーッ。昭和でしたね。
昭和の上野駅はこんなにきれいではなかったです。今の上野駅は衣をつけた天婦羅。目を凝らせばかつての姿はそのままです。