写真は今の祓川ヒュッテ、昔の祓川ヒュッテは木造で、太い丸太が建物を三方から斜めに支えていました。
日記の中の一日、すべてが伝わってきます。
九月十二日(曇り、のち雨)
あいかわらず雨風だ。せっかく集めた枯れ柴も、風に吹き飛ばされてみるかげもない。
風がピタリとやむと、赤滝の音がごうごうと耳にはいる。
風が雨戸を叩きつけてガタガタと響く。
きょうも、だれひとりきてくれぬ。あすはきてくれるだろうか。あすも相変わらず雨風だかもしれない。それにしても、あすは、なにを食ったらよかろう。あるのは、ただ鯨と塩ホッケだけだ。汁は、野菜がないので食えない。酒があるわけでなし……。
ああ、これも我慢のしどころとあきらめて床にはいる。雨は遠慮もせず、ザアザア降りつける。そのたび、ガラス戸がガタガタともの淋しく鳴り響く。カレンダーは、すきま風に吹かれ、一枚一枚、音を立てて落ちる。九月とはいえ、時がくれば夜になる。外は真暗だ。ランプは、ただまわりだけがうすぼんやり照らして影を流している。
まっくらな風呂場あたりで、ネズミがジイジイ叫びながら走り去る。
あいかわらず雨風だ。せっかく集めた枯れ柴も、風に吹き飛ばされてみるかげもない。
風がピタリとやむと、赤滝の音がごうごうと耳にはいる。
風が雨戸を叩きつけてガタガタと響く。
きょうも、だれひとりきてくれぬ。あすはきてくれるだろうか。あすも相変わらず雨風だかもしれない。それにしても、あすは、なにを食ったらよかろう。あるのは、ただ鯨と塩ホッケだけだ。汁は、野菜がないので食えない。酒があるわけでなし……。
ああ、これも我慢のしどころとあきらめて床にはいる。雨は遠慮もせず、ザアザア降りつける。そのたび、ガラス戸がガタガタともの淋しく鳴り響く。カレンダーは、すきま風に吹かれ、一枚一枚、音を立てて落ちる。九月とはいえ、時がくれば夜になる。外は真暗だ。ランプは、ただまわりだけがうすぼんやり照らして影を流している。
まっくらな風呂場あたりで、ネズミがジイジイ叫びながら走り去る。
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