「本日も読書」

読書と映画の感想。ジャンル無関係、コミック多いけどたまに活字も。

悩み多き哲学者の災難

2004年12月25日 | ミステリー
今日は三冊も紹介だよ。
クリスマスだってのに読書ばかり。
「悩み多き哲学者の災難」
ジョージ・ハラ 早川書房

皮肉とユーモアで描いた思索的サスペンス。
これは裏表紙の文句だが・・・まあ確かにその通りだろう。
少女が行方不明になり、その犯人として哲学者が疑われる。
ヴィトゲンシュタインのネタが良く出る。
私も哲学はかじっているほうだが、アメリカの学生って
こんなに頭良いんですか・・・レベル高い講義だなあ。
まあ理解しているとは限らんわけだけど。

主人公の哲学者エヴァンの考えていることは、
たぶん日本の大学の先生も同じように「そうだよなあ」
としみじみ思う人は多いだろうな。
つまり、講義に人が集まらない。
質問が来ない。学生は寝ている。
スキャンダルのある先生の講義には大量の学生がくる・・・

大学生活をおくった人なら「あ、こんな講義あったよね」
と思うかもしれません。
少なくとも私は思いました。

しかし主人公が暗い。
というよりひたすら思索にふけっている面があって・・・
オレに似てるか(爆)。
しかし読むほうとしては、もう少し明るく・・・
二人の双子の息子は面白いんだが、
主人公が容疑者になってから夫婦仲がどんどん悪くなっていく。
互いに疑心暗疑に。
そこが読んでいて痛い。

それが現実的ではあるだろう。
実際に自分が容疑者扱いされて、明るくジョークを交わしながら
家族が明るい生活を営むことなんてできんわけで。
ただ、読む前に勝手に「天才柳沢教授」的な内容
を想像していたから・・・違ったんだよね。
あんなに明るい雰囲気は無い。

後味が・・・悪い、とは言わないまでも、
なんかしっくり来ない。
「あー良かったね」には私としてはなってない。
結局、娘の父親にとっては何の解決にもなってないわけで。
主人公にしても一度容疑者扱いされたら、
一生そのことを背負うことにもなるわけで、
忘れろ、と言っても全く元の生活に戻ることも無いだろうし。
双子が救いだな。生意気だけど。

映画化される、というのは、その方がいいかも。
映画だと深く考えないで済むし。
とりあえず夫婦が抱きしめあってハッピーエンド!
って思えるし。

小説としてはサスペンスにしないで、
延々と主人公の日々の生活と
彼の思索を描写してくれたほうが面白かったんじゃ・・・
そうなると柳沢教授になっちゃうか。
続編を作るならサスペンス無しでも十分成立すると思う。
特にこの夫婦の子育ては面白いかも。

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