「本日も読書」

読書と映画の感想。ジャンル無関係、コミック多いけどたまに活字も。

陪審員はつらい

2005年01月30日 | ミステリー
何度か触れたことのあるパーネル・ホールの
第6作。

「陪審員はつらい」パーネル・ホール ハヤカワ文庫

シリーズもの。最新作はサスペンスは嫌い、だったかなあ。
このシリーズは主人公の私立探偵スタンリー・ヘイスティングズが
面倒に巻き込まれるもの。

とにかく等身大の探偵で、普段は弁護士の下で調査員として
安い給料で働いている。
それがシリーズ第一作で殺人事件に巻き込まれて以来、
もう大変。作者のパーネル・ホールの体験もたくさん
入っているようです。

「陪審員はつらい」を紹介する理由は、
日本でも裁判員制を導入するみたいだから。
私は大反対で、珍しいでしょ?
そう思った方、これを読んでよ。

どんだけしんどいか。
どんだけ虚しいか。
司法に国民が参加?
・・・これを読め。

人間というのは理想どおりにはいかんのだぞ。
退屈するんだぞ。
飽きるんだぞ。
ボーっとしてしまうんだぞ。
事実よりも印象を重視しちゃうんだぞ。

話としては、陪審員になった主人公が
なんだか殺人事件に巻き込まれて・・・と
まあ普通はありえない話だけど、小説ですから。
それでも面白いですよ。

注目してほしいのは陪審員になるってことは
どんなものか、というのを普通の事件を普通の人間が
陪審員となった場合にどう思うか、というのを知ることができる。
作者の実体験に基づいているはずだし。

今のところ日本では重大事件だけ、という話みたいですけどね。
名前を「裁判員」にしてるあたり、その責任はかなり重大ですぜ。
自分が被告人になったとき、そこらへんのオッサンや若者に裁判員に
なってほしいですか?

私は絶対いや。しかも無実の罪だったらぜっっっったい嫌。
少なくとも裁判官に限ったほうがマシ。
彼らは人を裁く仕事がどういうものか
わかっている人がほとんどだもの。
いくら世間から疎いと批判されたって、
んじゃ世間がわかっている奴ってどんなんだよ。

こんなこと書くのは冤罪をつくってしまった裁判官の講義を
受けたからです。
どんだけその人が苦しんだか、そして司法をまともに
機能させようと若い人に喋っていたか、少なくとも感じるところが
あったからです。

ああいう裁判官がいる限り、裁判員っていらないと思う。
まともな裁判官の判断が尊重されなくなると思う。
そんな声は完全に少数派なんでしょうけどね。
裁判員の前に簡易裁判所の悪用をなんとかしてくれよ、ホントに。

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