パーマネントなデュオとなった2人の名盤ファースト・アルバム「Eden」に次ぐ2作目で、85年の作品です。プロデューサーはファーストと同様、ジャズやボサノヴァを取り入れたアコースティック・ミュージックでは当時の顔だったRobin Millar。完成度の高かった前作に比べると、この作品はポップで爽やかなサウンドで新味を出したといってよいと思います。ジャケットはHumphrey Spenderという人の1930年代の割と有名な写真が使われています。このジャケットとアルバム・タイトルからしてピュアな印象ですが、歌詞もヒリヒリしています。
オープニング・ナンバーでシングル曲の「When All's Well」では、Tracey Thornが「私たちは誠実でも純粋でも正しくもない」(詞はBen Watt)と軽やかに歌います。Tracey が書く女性の視点からの詞も常に等身大で真実を語っているようで、この2人は当時から信頼のおけるアーティストとして人気がありました。もうひとつのシングル「Angel」も、教会の外で物乞いをしている子供を歌った実に悲しい曲で、鋭い視点を持ったクリスマス・ソングです(売れませんでしたが)。
12曲中Ben Wattが歌っているのは1曲だけで、他の11曲はTraceyのヴォーカルです。詞はTraceyが多めで、曲はBenが中心になっています。このほか「Kid」はThe Pretendersのセカンド・シングルのカヴァーで、アコースティックな味のある曲に仕上がっています。そういえばChrissie HyndeとTracey Thornの声は、意外にも似ているなと思ったものです。
When All's Well
http://www.youtube.com/watch?v=XB-6LuNEW-M
MySpace(2曲目の「Ballad Of The Times」が収録曲)
http://www.myspace.com/benandtracey
The Pretenders「Kid」
http://www.youtube.com/watch?v=xvm_DXgNZGs