MUSIC IS THE SCENERY

いつも背景には音楽がある。
インディー・ポップ中心の洋楽ブログ。

2 リヴァプールの永遠の青年、The Pale Fountains

2005-05-22 14:37:22 | アーティスト紹介
I JUST WANT TO WRITE CLASSIC SONGS-Michael Head

ネオアコ好きなら知らない人がいないであろうこのバンド。現在はShackを率いるマイケル・ヘッドを中心とする4人組。バート・バカラック、ボサ・ノヴァ、フォーク、ジャズ、60年代ポップスなどの音楽を巧みに取り入れ、甘く切ない爽やかサウンドを作り出した青春バンドで、硬派な面も多分に持つ。82-85年の3年間にアルバム2枚と短命に終わってしまった。

このバンドはインディーズのオペレイション・トワイライトというレーベルからスタートするが、デビュー曲がボサノヴァ調の大名曲「JUST A GIRL」。私の生涯チャート、ベスト3入りは必至のこの曲。といってもオリジナル・アルバムに収録されていないので、The Pale Fountainsのことは知っていても、この曲は知らないという人も多いと思う。まあこの曲のお陰でメジャーのヴァージンと契約することにはなるのだが。そのヴァージン移籍後すぐの2枚のシングル「THANK YOU」「PALM OF MY HAND」が全英チャートに入るヒットとなったことを考えると、この曲がその時期にリリースされていたらもう少し違う結果になったのではないかと思ってしまう。

そしてファースト・アルバム「PACIFIC STREET」を84年発表。デビュー当時から目立ったトランペットは健在、ボサノヴァ風の曲に加えロック調の曲もあるなど、音楽性の広がりを感じさせる。アレンジも細部にわたり隙がなく、とても美しいアルバムに仕上がった。今でこそ日本ではネオアコの名盤とされるこの作品も、実際に評価されるようになったのは解散してしばらくしてからだ。

メンバーチェンジの後に発表されたセカンド・アルバム「・・・FROM ACROSS THE KITCHEN TABLE」では、彼らの持ち味のひとつでもあったトランペットの音が消え、曲調はエッジの効いたハードなものになり、ヴォーカル・スタイルまでも以前のナチュラルな歌い方から大きく変わってしまった。まるで別のバンドが出したアルバムのようだ。でもこれも悪くはない。しかし結局このイメ・チェンも成功することなく、解散へと向かってしまう。

私の場合、このバンドをリアルタイムに聴いたのは、解散直前に来日したときにFMで彼らのライヴを放送したのだが、それが初めてであった。その時は大して印象もなかったのだが、解散後3-4年して、新星堂からイギリスのインディーズの3枚組コンピCDが発売され、そこに収録された「JUST A GIRL」を聴き感動。その後セカンド、ファーストの順で購入という変な聴き方になってしまった。

そして98年、ふと訪れた輸入CDショップでドイツのマリーナからリリースされた彼らのレア・コンピ盤を見つけ即買い。「JUST A GIRL」(PACIFIC STREET国内盤に収録されているのは別ヴァージョンなのでご注意)で幕を開けるこのCDで、それまであまり知られなかった初期の彼らのヴェールが脱がされることとなった。残念ながら今は廃盤。
なにかと運に見放された感のあるバンドだが、マイケル・ヘッドの不運はまだ続く。機会があればまた後で。

<私の選んだThe Pale Fountainsベスト5>
1 JUST A GIRL
2 REACH
3 THE NORFOLK BROADS
4 JEAN'S NOT HAPPENING
5 THANK YOU
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1 80年代中期英国の良心、The Smiths

2005-05-19 02:36:38 | アーティスト紹介
ブログ初心者です。

洋楽の好きなアーティスト、バンド100組を不定期に紹介していきます。
70-80年代が中心になると思います。
興味のある方、ご覧ください。


経済的にもロックの世界でも停滞していた80年代中期の英国。70年代に始まったパンク・ムーヴメントも終わりを告げ、柱となるアーティストに欠けていた83年、彼らはインディーズのラフ・トレードから登場。マンチェスター出身の失業中など無職の4人組で、87年までに4枚のアルバムと18枚のシングルを発表。80年代中期英国の信頼できるナンバーワン・バンドへと育つ。02年4月に英国の音楽誌・NME誌が発表したこの50年間で影響力のあった英国アーティストで、ビートルズを押さえ見事ナンバーワンに輝いた。アルバムはすべて全英で1位か2位を記録、シングルもトップ10ヒットを数曲持つ。
ヴォーカルのモリッシーが書くやや倒錯的で人間の弱さや自閉的な思春期を表現した歌詞と、ジョニー・マーの独特なギター・ワークに魅了された「スミス信者」を多く生む。モリッシーの発言は過激でユニークで、マスコミからしばしば取り上げられた。とくに詞の面では他のアーティストがかすんで見えるほど秀逸。

 僕たち2人に
 2階建てバスが突っ込んでこようとも
 君のそばで死ねるなら
 これほど素晴らしい死に方はない
 (THERE IS A LIGHT THAT NEVER GOES OUT)

この場合の君は男性であったりするのだが、それはさておき他にはないストレートに心に突き刺さるラヴ・ソングだ。

 人生は与えるものじゃなく
 単に取るものだけだって
 僕は今日定めたよ
 イギリスは僕のもの 僕に対して義務がある
 理由を聞くなら君の目につばを吐いてやる
 (STILL ILL)

といった具合。

彼らが思っていたのは、労働者階級の人間が人前で大きな声で何かを言いたいならロックで成功するしかないということ。

結局はモリッシーとジョニー・マーの不仲が原因で87年に解散、モリッシーはソロに転向し大成功を収める。

それにしても当時の日本では彼らは全く無視されていた。アメリカで売れないと受けないという風潮があり、その頃日本で人気のあったイギリスのバンドといえばカルチャー・クラブやデュラン・デュランなどアイドル性の強いバンドだけだった。私の周りも洋楽ファンがたくさんいたが、彼らを知っていたのは2人か3人だけだった。
多くのフォロワーを生んだ彼らは、解散から20年近くが経とうとしている現在でも若い人に聴き継がれているようだ。

<私の選んだThe Smithsベスト5>
1 THIS CHARMING MAN
2 WILLIAM, IT WAS REALLY NOTHING
3 THERE IS A LIGHT THAT NEVER GOES OUT
4 ASK
5 HALF A PERSON


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