国公立前期入試を受験した皆さん、お疲れ様でした。
今年度は京都工芸繊維大学、大阪教育大学、滋賀県立大学、岡山県立大学、沖縄県立芸術大学、尾道市立大学など幅広く非常に多くの生徒が国公立前期入試に臨みました。
その中でも断トツに多かったのが、『京都市立芸術大学』。
本日は今年度の京芸実技入試解説について。
◇描写「与えられたコーラ、紙ふうせん、手ぬぐいを台紙上に配置し、鉛筆で描写しなさい。」
今年度は非常にオーソドックスなモチーフが出題されました。構成に関しては「紙ふうせん、コーラのどちらを前にするか」、「コーラを立てるか、寝かせるか」などの選択肢があるものの基礎的な観察力・描写力を問うモチーフでした。昨年度のように構成で点数が大きく変わることはあまり無いと思います。紙ふうせんは色の違い、立体感、皺の表情をしっかり表現できているか、コーラは形の正確さ、ガラスの質感や反射、凹凸、レタリングなど細部まで注意深く観察できているか、手ぬぐいはガーゼのような薄い布の質感、前後での表情の描き分けなどが求められています。当校でも全員が一度は描いたことのある基礎的なモチーフ群で、難易度は決して高くない分、わずかな構図、形、描き込みの差が大きな点数の開きになるのではないかと思います。
◇色彩「テーマ「皺(しわ)」与えられた紙(A3上質紙)に、皺を寄せて観察し、色彩で表現しなさい。」
今年度の色彩は問題文に「皺を寄せて観察」とあるため、モチーフ構成的な表現が求められていると推測されます。但し観察からイメージを発展させたり、皺と色面分割を組み合わせたりするのも決して間違った表現方法ではないと思います。採点基準としては構成の工夫の仕方、皺の表現(表情)のリアルさや面白さ、色の綺麗さ豊かさ、独創的な表現などが評価されると思います。また30×30cmという例年よりも小さいサイズで出題された意図は完成度の高さを求めていると考えられます。
◇立体「与えられたケント紙を使って「空気を支える形」を下記の条件に基づいて立体表現しなさい。」
今年度の立体は3年ぶりにケント紙が出されました。立体の基礎と言えるケント紙が与えられた背景にはやはり描写と同様に「基礎的な表現力、総合的な造形力や空間表現」が求められているのだと思います。また「空気を支える形」というのは具体的な形が存在しないため、如何に空気を支えているように見せられる立体を作れているかがポイントとなります。「空気」という目に見えないものをテーマとして出題したのは、受験者の「対応力」を求めていると考えられます。