前回行った時は、8月のバカンスで、その多くが閉まっていたパリの花屋。
今回パリ行きが決まった時、真っ先に行きたいアドレス候補に挙がった3軒。
花屋の仕事の多くは、店の奥の見えないところで行われていることが多く、
店に行ったからといって、そんなに作品が見られるわけではない。
それでも、やはり店のあちらこちらに、その店の雰囲気というか、こだわりというか、魂のようなものが滲み出ているものだ。だから、店先だけでも、どうしても訪れてみたかった3軒。
一軒目は、Stephane Chapelle。
パレ・ロワイヤルに程近い店は、けして大きくはないけれど、狭さを感じさせないのは、枝物などで高さを出したディスプレイのせいか。
まず目に留まったのが、上の写真の赤いバラ。壁の金色は、煌びやかながら、けして派手すぎず、花の美しさを効果的に演出していた。この赤と、黄金の色、そして背の高いブラッサムの枝、艶やか。
レジの番人?ふくろう。
Cyperusの葉。こんなに背の高いものは珍しい。
大きなアレンジに映えそう。
店のロゴの入ったリボン。
実は、この店は、ロンドンで出会った西間木恵さんがかつて働いていた店。優しそうな笑顔で迎えてくれた、店主ステファンさん。大きな体で、包み込むような温かさを感じさせる人。本人の写真は、ブログ掲載の許可をもらわなかったので載せないけれど、「Bonjour Megumi!」とさっと紙に書いて手に持って、カメラに笑顔を向けてくれた。
恵さんは、現在仙台に戻り、今年1月にLabo1113という、”花との対話”の空間をオープンしたばかり。ステファンの店、そして日本での豊富な経験を生かした、恵さんならではのユニークな創作活動を見せてくれるはず。今後が益々楽しみなフローリストだ。
2軒目は、Eric Chauvinの店。
”花の貴公子”と呼ばれるEric Chauvin氏の第一号店。エッフェル塔のあるパリ7区、高級住宅地の小さな路地にある。
これは2010年8月。閉まっていて残念だったけれど、店の外にあった高く伸びたジャスミンが素敵で、それだけで来た甲斐があった。そう思うと同時に、今度は中を見てみたい!という願望は益々強くなり…。
「こちらは閉まっていますが2号店は開いています」という、丁寧なお知らせがドアに貼ってあり、2号店の住所が窓辺に添えられていた。こんなさり気ない心遣いまでもが美しく素敵だった。
さて、こちらは今回。念願叶って店内へ。入って正面に迎えてくれたのは、こんなピンクの花たち。エリックの得意な色とのこと。それぞれ質感の違う壺型の花器とバラとのバランス、高低差も完璧!
白い花々。古いレンガの壁に映えて…。
やわらかいピンク色のバラには、こんな優しく上品なグレイの流木。この高さがまたダイナミック。後ろの壁にはめ込んである大きな灰色の石も、トータルコーディネート。
店の外の台の上には小さな鉢植えの植物が。アマリリス、ヘラボラス。
女性の店員さん、一人だけだったが、とても感じよく対応してくれた。
そして3軒目は、Odorantes。
シックな色合いの、外灯、鳥籠や、蝶、額ぶちなどを効果的に用いた、ユニークなディスプレイは、他のどの店とも違っていて、最初に雑誌で見たときから、とても気になっていた店。場所は、サンジェルマン、リュクサンブール公園の近く。
写真は外からのみOKだったので、この一枚のみ。
小さなこの店は、全体がまるで、抽象画のようだ。グレイの壁に、くっきりと影のように黒いオブジェが点在し、花の配置も、無駄がない。花はほとんどがバラだった。
「大人だな~」というのが、3軒回って、一番強く感じたこと。
その華やかさは、宮殿やオートクチュールの華やぎに相応しく、美麗の極み。
建物や壁、花器など、古いものならではの重厚感、大胆な枝物使い。それが、甘く平凡になりかねないバラの花を、甘すぎない、洗練された花に見せている。そして、色彩の魔術とも言うべき、絶妙な色使い。これは簡単に真似できるものではない。パリの花屋には、パリジャンが長年培ってきた独特の美意識が染み付いている。そんな印象を受けた。
やはり花の都でした、パリは。
Stephane Chapelle
29, rue de Richelieu -75001 PARIS
TEL 01 42 60 65 66
Eric Chauvin
22, rue Jean Nicot -75007 PARIS
TEL 01 45 50 43 54
Odorantes
9, rue Madame -75006 PARIS
TEL 01 42 22 82 31