※前回の町田の記事はこちら(20節・愛媛戦、5-0)
※前回の長崎の記事はこちら(28節・琉球戦、3-1)
※夏の移籍情報についてはこちら
リーグ再開後暫くはもたついたものの、27節(甲府戦、3-0)に勝利してから目下3連勝中と勢いに乗った町田。
中断期間の補強ではGK増田が再度のレンタルで出戻り加入、さらに田代を加えたものの、両者ともさしたる出番は無し。
おまけに中断前から加入・合流していた安井も、前節を境に出場無しと、軒並み脇に留め置かれ。
前年とは打って変わって上位争いを繰り広げている現状、好循環を保っているチーム内にフィットするのは並大抵の難易度では無い事が伺えます。
それだけ現有戦力で確固たる枠組みが築かれ、目標に向けて揺るぎのない進軍を果たしているともいえますが、この日は同じく上位争いの最中にある長崎が相手。
好試合が期待されたものの、台風の影響で雨が降り注ぐ中、いきなり波乱の展開が描かれる事に。
長崎のキックオフで試合が始まり、カイオ・セザールのロングパスがライナーで前線に送られると、水分の多いピッチで止まり。
そこを澤田が拾いにいきこぼれた所を、植中が拾ってエジガルに渡り、エリア手前からシュート。
町田にとってはいきなりの出来事でディフェンスラインを整える間も無く、エジガルのシュートはあっさりゴールネットに突き刺さり。
開始10秒という電光石火の先制点となりました。
僅かな差を凌ぎ合うゲームになるかと思いきや、フィールドに広がるのは「田んぼサッカー」に近い光景となったこの日。
ビハインドからのスタートを強いられた町田、気を取り直しつつ、ピッチ上を考慮したロングボール主体の攻撃で反抗します。
前半3分、自陣でボールが止まった所をすかさず高橋がエリア内へロングパスを送り、跳ね返りを拾った平戸がエリア内左からクロス。
クリアされたボールを高江がミドルシュートしたもののブロックに阻まれ。
一方の長崎も、普段は最終ラインでの繋ぎの割合が多くなる所を、素早く縦にボールを送る攻撃を展開。
そんな両チームのぶつかり合いの下、どんどん縦に蹴られてボールが目まぐるしく動く、まさにピッチコンディションに相応しい様相となります。
ともにFWを狙ったロングボール攻勢となるも、長崎はエジガルがポストプレイ担当、植中が裏抜け担当と2トップの役割が明白。
一方の町田は、長谷川アーリアジャスールをやや下がり目にした4-4-1-1という布陣の影響か、中島がポストプレイ・裏抜け両方をこなす形。
微妙な相違点ながら、1人の分中島が厳しいチェックに遭う町田の方が若干不利かな……なんて考えを過らせつつ、第1クォーターの時間が進んでいきます。
反則によるセットプレーも多くなる、天候通りの荒れ模様の展開となり。
また20分には倒れた選手が生まれた関係で長崎のドロップボールで試合再開となる所を、山崎が触れる前に町田・吉尾がボールを掻っ攫ってドリブルを仕掛けようとする珍妙な場面も生まれます。(当然やり直しに)
飲水タイムが挟まれた後の27分、長崎・植中の反則で町田のフリーキック。
右サイドからエリア内中央にクロスが放り込まれると、高橋がヘッドで前へ送ったボールを深津が合わせにいき。
バイシクルのような恰好で足を振りにいった深津でしたが、植中を蹴ってしまい反則に。
ロングボールを蹴り合い、運を天に任せるといったようなスタイルの応酬故、どうしても珍妙な場面が目立ってしまう展開となっていたでしょうか。
尚、その後の29分に再度深津が、敵陣で右からカットインを仕掛けた植中に対し後追いの反則で警告を受ける破目に。
前半終了間際には長崎陣内でのボールの奪い合いのなか、倒れた鍬先があろう事かボールを手で叩いてしまいハンドの反則。
意図的との判定で警告を受ける、といった具合。
試合展開としては、30分過ぎから町田ペースとなるも、ラフに前へボールを蹴るという攻撃の連続。
フィニッシュに結び付けられず時間を浪費すると、長崎へと流れが移り変わります。
町田陣内の方が水分が多いピッチ上、止まるボールで惑わされる町田ディフェンスに対し優位に進め。
41分には右サイドのスローインからの攻撃、植中がエリア内を突いて横パス、中央からカイオがシュートするもGK福井がキャッチ。
長崎ペースのまま終わるかと思われたアディショナルタイム、上記の鍬先のハンドで得た町田のFK。
その二次攻撃で平戸がエリア内へロビングを送り、クリアボールが上空へ舞い上がったのち深津が落とすと、エリア内中央で長谷川アーリアが受ける絶好のチャンス。
しかし放たれたシュートは僅かにゴール左へ外れてしまい。
この決定機をモノに出来なかった町田、結局ビハインドのまま前半を終えました。
終了間際の決定機逸に嫌な流れをベンチも感じていたのでしょうか、ハーフタイムで早くも鄭大世(チョンテセ)の投入(土居と交代)に踏み切ったランコ・ポポヴィッチ監督。
それだけに止まらず、フォーメーションも3バックへ変更するという手も打ちます。
奥山が左センターバックに入り、ウイングバックは右=吉尾・左・平戸、トップ下に長谷川アーリアが回る3-4-1-2の布陣で後半に臨んだ町田。
試合後のポポヴィッチ監督のコメントは、「サイドからボールを入れる」という意図の下の布陣変更との事で、実際左サイドから平戸のロングパスを中島が落として鄭に繋げる(オフサイド・後半4分)場面もあり。
しかしその効果が行き渡る前に、長崎の攻勢を浴びてしまいます。
6分には再び植中のカットイン(今度は左サイド奥から)を、吉尾が後ろから倒して反則・警告を受けてしまい。
そのFK(左サイド最奥から)で、クリアされたボールを逆サイドからクロス→江川ヘディングシュート(ブロック)→新里シュート(枠外)と連撃を浴びせ。
これで勢いづいた長崎は続く7分、山崎の左→右のサイドチェンジから、受けた澤田のスルーパスに追い越した毎熊がクロス。
クリアされるも尚も澤田が再度右サイドからクロス、ニアで収めた毎熊がシュート。
ブロックされて右コーナーキックとなり、キッカー山崎のクロスに合わせたのはエジガル。
町田・高橋のマークを巧に外してボールを捉え、綺麗に決めてこの日2点目を上げました。
ここで町田は再度決断し、フォーメーションを元の4-4-2(正確には元のものは4-4-1-1ですが)へと変更。
土居が既に居ないので、左サイドバックに吉尾を流用する苦し紛れの布陣となります。(長谷川アーリアが左サイドハーフ・平戸が右SHにシフト)
それでもキックオフから圧力を掛けて攻勢に出る町田。
11分・13分とCKを得て、結果に結び付けたのは後者の方でした。
左からキッカー平戸がクロスを入れクリアされるも、エリア内で吉尾が拾ってシュート。
これを軌道上に居た佐野がコースを変え、GK富澤の逆を突いてネットを揺らす事に成功。
1点を返し、望みを繋いだ町田。
点差を詰められた長崎ですが、すかさず直後の14分、鍬先のロングパスに裏へ抜けた植中がエリア内右からシュート。(サイドネット)
町田の勢いを逸らすと、16分には敵陣でカイオ・鍬先のドイスボランチでのパス交換から右へ展開。
澤田が受けたのちカイオの下に戻されると、エリア内右へスルーパスを供給、走り込んだ毎熊からマイナスのクロス。
そしてエジガルが仕上げのシュートを放ち、ゴールネットに突き刺さりこれでハットトリック達成となったエジガル。
突き放しに成功した長崎、再び2点差となりました。
この得点直後に双方選手交代の運びとなり、長崎は山崎→亀川へと交代。(米田が左SB→左SHへシフト)
一方の町田は3枚替えと大胆な策を敢行し、中島・長谷川アーリア・高橋→ドゥドゥ・太田・岡田。
CBの高橋が退いた事で、奥山がCBへと回って岡田がその穴の右SBへ。
平戸が元の左SHへと回り、太田が右SHと配置転換もせわしなく。
後半の時間も進み雨脚が弱まりを見せたものの、依然として画面から右側(後半は長崎陣内)の水分が激しく。
19分に長崎がパスワークで攻撃、カイオ縦パス→エジガルポストプレイ→受け直したカイオがエリア内へ前進(奪われて撃てず)という流れる攻撃を敢行。
一方の町田は20分にロングボールから好機を作り、太田のクロスがブロックされ、拾い直して繋ぐも水で止まってしまい岡田には渡らず終わり。
依然として水の影響を考えなければならず、ビハインドの町田にとっては逆風に。
前半は守備で、後半は攻撃で水に苦しめられるという泣きっ面に蜂状態となります。
それでも25分、左から吉尾のロビングがエリア内中央に送られ、ドゥドゥが合わせにいった所GK富澤の飛び出しでこぼれ。
これを太田が繋ぎ、エリア内から鄭がGK不在のゴールにシュート、しかし長崎・毎熊が滑り込んでブロック。
さらに太田がシュートを放ちましたが、今度は長崎・亀川にヘッドでブロックされ、寸での所でモノに出来ない町田。
飲水タイムが挟まれ(26分)、総攻撃に出るしかない町田。
ロングボールを(主に鄭をターゲットとして)蹴り込むパワーサッカーを継続。
これがかえって良かったでしょうか。
31分、GK福井からのフィードが鄭の頭を越えてバウンドすると、拾った太田がエリア内中央へと流れてシュート。
ゴール右隅へと突き刺し、縦ポン一発の攻撃を得点に繋げて1点を返した町田。
その後もパワーを持って攻め込む町田、33分にはドゥドゥのドリブルを止めにいった長崎・カイオが倒してしまい、反則・警告を受け。
長崎が一転して反撃に出たのはその直後で、35分に左サイドで亀川が左サイド奥へ進入。
一旦カイオに預け、リターンを受けてエリア内へ進入、そして放たれたシュートはGK福井の股を抜いてゴールネットを揺らし。
再び2点差かと思われましたが、カイオのリターンを受けた所がオフサイドとなり無効となります。
直後に長崎は澤田・江川→加藤大・二見へと2枚替え。
守備的な2選手の投入で逃げ切りを図りにいったものの、再度町田の攻勢に突入してしまい。
そして迎えた41分、佐野の左サイドへのロングパスから、吉尾がドリブル突破で奥へ進入してクロスがファーサイドへ上がり。
岡田が合わせにいき、足下にこぼれたボールをポストプレイで繋ぐと、太田がダイレクトでエリア内右からシュート。
斜めからのシュートが見事に左サイドネットを捉え、とうとう同点に追い付いた町田。
泥仕合の絵図の中、好試合へと色を変える事に成功します。
直後に長崎はエジガル・植中→都倉・玉田へと交代するも、キックオフ直後に更なる悲劇が襲います。
ボールカットしたドゥドゥがドリブルに入った所に、カイオがスライディングで止めに入ると、激しく転がるドゥドゥとともに審判の笛が鳴り響き。
2枚目の警告を受けてしまったカイオ、あえなく退場となり数的不利の戦いを余儀なくされてしまいます。
勢いに乗る町田(43分に平戸→水本に交代、吉尾が左SB→左SHへシフト・奥山がCB→左SBへシフト)、45分に左CKのチャンス。
二度のクロスがクリアされたのち、拾った奥山のロビングをエリア内左で深津が折り返すと、中央でドゥドゥが収めて至近距離からシュート。
しかしブロックに阻まれ、その後の佐野クロス→深津ヘディングシュートも外れて勝ち越しならず。
7分というATに突入し、今度は長崎がセットプレーから決定機。
GK福井がパンチングで掻き出し、(長崎から見て)右サイドへこぼれた所に自ら抑えに行きましたが、加藤大が拾って福井をかわしてクロス。
これを都倉が合わせてヘディングシュート、GKも居らず決まったかと思われたボールは、ライン寸前で水本がブロックで防ぎ。
こちらも勝ち越しとはいかず。
最後は町田がカウンターを浴びせ、スルーパスに鄭が抜け出し、エリア手前でキープしたのち中央へ横パス。
受けた高江がエリア内からシュートするも枠を捉えられず。
結局3-3のまま、引き分けで勝ち点1を分け合う結果となりました。
前半色々可笑しなシーンが目立ったうえ、後半には退場者も生まれるなど天候通りの荒れ模様となりましたが、終わってみればスコアが示す通りの熱戦と表現される展開になったでしょうか。