※前回の山口の記事はこちら(28節・栃木戦、2-3)
※前回の金沢の記事はこちら(23節・千葉戦、1-2)
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19節以降未勝利と、長いトンネルに入ってしまった金沢。
おかげで11位だった順位(18節終了時点)は、とうとう降格圏の19位にまで転落と、残留争いにどっぷり浸かる羽目になってしまいました。
10戦で引き分けすら2度あるのみ(8敗)と、深刻さが伺える星取り。
順延のため、中2日でウィークデーに開催となったこの試合。
そのためスタメンを5人入れ替えて臨み、その中には育成型レンタルで加入した平松の名前もありました。
一方の山口は、金沢以上にコンディションに気を遣い、8人入れ替えという大処置を敢行。
金沢同様に、育成型レンタルで加入した桑原が左ウイングバックで初のスタメンとなり。
こうした状況下で、普段通りのサッカーを貫けるかどうかが注目となるでしょう。
金沢ボールのキックオフで試合が始まり、その最初の攻撃で藤村の大谷狙いのロングパスが巧く繋がり、嶋田のシュートが生まれます。(GK吉満キャッチ)
しかし山口は前半3分右サイドから高木がサイドチェンジ、受けた桑原が手前からクロスを入れると、こぼれ球を拾った大槻から受けた高井がシュート。(ブロック)
普段よりも3バックの左右の上がりは自重気味で、上記のシーンのようにWBへとボールを送ったのち、長いパスを使っての攻撃が目立った山口。
桑原の他、戦線復帰を果たして実に15試合ぶりのスタメンとなった高木が右WBを務め。(出場自体は12試合ぶり)
両翼がフレッシュな顔ぶれだったため、立ち上がりに出来るだけ多くプレーに関わらせる配慮があったでしょうか。
そんな中で迎えた10分、ここも最終ラインから右で受けた高木が中央へ縦パス。
大槻のポストプレイは繋がらずも、奪い返した池上がそのままエリア手前中央からシュート。
グラウンダーでゴール右へと突き刺し、先制に成功した山口。
幸先良い立ち上がりとなり、尚も11分に高井が中央をドリブルでエリア内を伺い、左へ展開されたのち桑原のクロスが上がり。
これを大槻がバイシクル気味にシュートしますが、枠を捉えられず。
ここまでは盤石と言って良かった山口の流れ。
一方の金沢、立ち上がりはひたすら大谷の裏抜けを狙った攻撃を繰り広げるも有効打とはならず。
その間にスコア的にもビハインドとなってしまいましたが、15分に大橋の縦パスを受けた大谷から左へ展開し、長峰のクロスが上がり。
丹羽の折り返しから、大谷がボレーシュートを放ちましたが僅かにゴール右へと外れ。
大谷を使った攻撃は変わらずも、狙いを微調整して掴んだ好機。
ここから金沢は、裏抜けを他選手(丹羽・平松)に狙わせる手法が多くなり。
21分には右サイドで松田がボール奪取、パスワークを経て中央の大谷がドリブルで前進、左に叩いたのち平松がエリア内に進入しシュート。
しかしゴール右へと外れてしまい、1-0のまま23分に飲水タイムが挟まれます。
ブレイク明けは再び主導権の掴み合いとなり、27分にはGKのスローからお互い好機を作り。
その内訳は、山口は池上の左からのクロスを大槻が受けにいくも、金沢・石尾に倒され撃てず。(反則無し)
一方の金沢、平松→大谷→大橋→丹羽と繋ぎ、丹羽がエリア内右からシュート(ブロック)とフィニッシュまで持っていきました。
そんな両者の結果が影響したか、以降山口は攻撃権を握るも、シュートまで繋げられずに時間を費やし。
逆に金沢は40分過ぎからペースを掴み始めます。
42分に大橋の左サイド裏へのロングパスが大谷に通り、カットインを仕掛けるも山口・高木に倒され奪われ。(反則無し、このシーンの影響か44分に異議で嶋田に警告)
その直後にも嶋田の裏へのロングパスを大谷が折り返し、丹羽がヘディングシュート。(GK吉満キャッチ)
アディショナルタイムには、藤村のロングパスを大谷が落としての好機となり、嶋田のミドルシュートがブロックされたのちも尚大谷がエリア内で拾い継続。
右から横パスを入れた大谷、これを藤村が合わせますが枠を捉えられず。
最後に流れを掴んだ金沢でしたが、同点には追い付けず前半を終えました。
共にハーフタイムでは交代無く、前半のメンバーを継続して後半に臨み。
入りの後半1分、金沢は左サイドの長峰(特別指定)・平松の初スタメンコンビの関係性で好機を演出。
2人のパスワークで前進したのち、大橋からクロスが入り中央で大谷が合わせにいくも撃てず。
ここからペースを掴み、6分には松田のボール奪取から、大谷がエリア内右へと進入してシュート。(枠外)
一方、前半立ち上がりに見せたWBを使っての好機は影を潜めつつあった山口。
高木が故障明けという要素もあり、徐々に体力が落ちて来たような印象でした。
9分河野が右→左へサイドチェンジを送り、受けた高井がエリア内左へ進入しクロス。
前半の高木・桑原の役割がシャドーに移ったかのようなシーンが描かれると、これをファーサイドで合わせたのは高木でしたが、枠には飛ばず。
チーム事情による方針転換が伺えたものの、迎えた12分に左コーナーキックの好機。
キッカー池上のクロスをニアサイドで高木がフリックすると、中央で高井が合わせゴールネットに突き刺します。
高木のアシストで追加点を得た山口。
しかし高木はこれがこの日一世一代の仕事だったようであり。
また15分にはこぼれ球の処理を桑原がミスし、大谷が拾って金沢に好機を作られます。(大谷→平松へのミドルパスが繋がらず終了)
こうした状況で、17分に山口は高木・桑原→川井・石川へと2枚替え。
当然過ぎる動きでしょうが、WBにレギュラー2人をあてがい残り時間に挑みます。
早めに1点を返したい金沢。
ボールを握らされる展開も増えていき、22分には山口のプレスを浴びつつ最終ラインでの繋ぎを余儀なくされるシーンが。
ここは必死に左右にサイドを振り何とか脱出し、長峰がクロスを上げる攻撃に繋げたものの、続く23分。
楠本の反則気味のチャージで敵陣で奪った山口、右→中央→左へと動かし、エリア内左から高井がクロス。
クリアされるも、楠本がダイレクトで送ったボールをエリア内右で河野が入れ替わりで収め、そのままシュート。
ゴールに突き刺さり、決定的といえる3点目が山口に入り、同時に(足を攣らせた河野とともに)飲水タイムへ突入します。
明ける際に山口は再度2枚替え、大槻・河野→草野・島屋に交代と、レギュラークラスの選手を逐次投入していきます。
逆に中々手が撃てずにいた金沢、既に3点差となってしまい。
28分にようやく平松・嶋田→大石・金子へ交代と動きます。
自陣から組み立てての攻撃は左サイドが多かったこの日の金沢、平松が退いた後でもそれは変わらず。
32分には左サイドで長峰がスルーパスを送り、クリアされるも丹羽が拾い、大石が奥へと切り込むもクリアされタッチを割り。
そのスローインから、中央の藤村へと渡りミドルシュートが放たれますが、ブロックに当たりゴール左へと外れ。
これまで4戦連続で無得点という現状を打破する事に目標を絞り、望みを捨てずに攻撃します。
33分には丹羽・大谷→瀬沼・力安へと交代と、2トップを入れ替え。(金子がFWへと回り力安が左サイドハーフ、大石が左SH→右SHへシフト)
一方の山口、金沢の反撃をいなしつつ、最終ラインからのロングボールにより組み立てるという余裕を持った攻撃。
しかしその形から、ロングパスを収めた草野が金沢・大橋に反則を受けてフリーキックを得たのが39分。
中央やや右・かなり手前という位置でながら、キッカー石川は低いボールで直接蹴り込み。
ボールはエリア内でバウンドし、そのままゴール左へと突き刺さるロングシュートとなります。
これで4点目を挙げた山口、3点ですら今季最多得点でしたが、早くもそれを更新する事となります。
お祭り騒ぎになっても可笑しくない(実際になっては駄目ですが)山口のホーム・維新みらいふスタジアムでしたが、そんな空気が悪影響となったのか。
直後の40分、自陣で川井がパスミスしてしまい、中央で大石が拾って金沢の攻撃。
パスを瀬沼に送ったのち、エリア内へのリターンに走り込んでシュート。
完全に裏を取った形となり、ゴールネットを揺らした大石、これでようやく5試合ぶりの得点を挙げた金沢。
その後も諦めずに攻め込んだ金沢でしたが、以降シュートまでは辿り着けず。
山口も44分に高井→田中渉へ交代(池上がボランチ→シャドーへシフト)と、守備へと傾倒するカードを切った事もあり、無理にフィニッシュを狙わず。
結局4-1のまま山口が逃げ切り、シーズン8勝目を挙げて勝ち点を30台に乗せました。
4枠が降格の残留争いですが、中断前は降格圏に居たクラブが揃って勝ち点を徐々に積み上げている再開後のJ2リーグ。
おかげで金沢がその波に呑まれ、山口も危険な状況になりつつありましたが、無事に一息付けたこの日。
中断前は金沢と山口が同じ勝ち点(26)だったという事もあり、蹴落としに成功したという表現がピタリと嵌ったでしょうか。