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DAZN観戦 2019年J2リーグ第24節 ヴァンフォーレ甲府vsファジアーノ岡山

2019-07-29 19:35:21 | サッカー視聴記(2020年以前)

※前回の甲府の記事はこちら(19節・琉球戦)
※前回の岡山の記事はこちら(10節・徳島戦)

いつの間にか順位が入れ替わっている両クラブ。(岡山6位・甲府7位)

開幕から上位争いを続けて来ていた甲府、その原動力はカウンター戦術による、守備の固さと前線の能力の高さでしょう。
しかし前線の決定力に陰りが見え始めてきた最近の試合、5得点で大勝した琉球戦以降は5試合で4得点、無得点試合も2度ありいずれも敗戦。
先制点を奪った試合を見ると22節・愛媛戦の前は、16節・新潟戦まで遡るという、守備型チームの理想である先行逃げ切りの形には持っていけていないのが一目瞭然です。

最前線を張るピーター・ウタカは能力・実績とも申し分無いのですが、既に晩年といっていい年齢(35歳)であり、琉球戦以降無得点が続いています。
この日は相方のドゥドゥが欠場と、水曜にも試合がある今週の過密日程を睨んでの措置だと思われましたが、どうやら故障が再発してしまったとの事。
こうなるとウタカを休ませるという選択肢も採りづらく、何とか理想の形で悪い流れを断ち切り順位を再び入れ替えたい一戦。

一方の岡山、折り返しまでは8~12位の間を行ったり来たりしていましたが、ここに来て3連勝でプレーオフ圏内に浮上。
21節・鹿児島戦で上田が故障から待望の復帰、そして自ら得意の直接フリーキックで祝砲のゴールを決めたのが契機となり、連勝を続けております。
この間に開幕からレギュラーだった武田将平や久保田がサブに回り、新たに喜山が上田とボランチを組む役に抜擢されるなど微調整も行われ、迎えたこの試合。
ストライカーにイヨンジェという絶対的な存在が居る(目下J2得点王タイ)だけに、いかに彼に良い形でシュートを撃たせるかの組み立てが問われるでしょう。

キックオフ前、岡山側は陣地を交代する策を採りました。
これが遠因となったのか、スローインやファウルの判定に不満を漏らす選手が多発するなど、試合はやや甲府側がフラストレーションが溜まりそうな展開で推移していきます。
また両チームとも自陣でのボディコンタクトで簡単に反則を取られ、フリーキックを与える場面も散見。傍らから見ていてやや簡単に笛を吹きすぎな印象だった前半。

判定の件は一旦置き、試合は序盤から岡山ペース。
カウンター狙いが明白な甲府なので当然といえば当然ですが、それ故ボールを回す展開となった岡山。
左サイドの仲間・椋原の攻撃を軸にしつつ、赤嶺のポストプレイを織り交ぜながら形を作っていきます。
オーソドックスな4-4-2というフォーメーションで、上田・喜山のドイスボランチが低い位置でゲームメイクする役目なので、両サイドバック(特に左の椋原)の位置は高目。
2トップはイヨンジェと赤嶺ですが、赤嶺がよく降りてくるのでイヨンジェは前線で左右どちらにも顔を出すという、守備からするとマークがやりづらい印象。

甲府の攻撃はというと、2シャドーの横谷・曽根田が頻繁にポジションを移動し、単調になりがちなカウンター主体の攻撃にアクセントを加えます。一方ウタカは勤続疲労が隠せないのか、ポストプレイのため降りてくる一方で中々シュートは撃てず。
前半の中盤からは左センターバックのエデル・リマも攻撃に加わるようになり、岡山ペースの序盤から、徐々に流れを押し戻しつつ……という展開。

すると前半32分、甲府に欲しかった先制点が入ります。
小椋のロングパスが左サイドのスペースに入り、これをウタカと岡山・チェジョンウォンが追い掛け、競り勝ったウタカがキープに成功。エリア内へとドリブルで向かい、シャドーの横谷・曽根田が走り込む中央にグラウンダーで入れます。
これを横谷ポストプレイ→曽根田ダイレクトでシュートという流れるような動きでゴールネットに突き刺す、文句無しの攻撃でした。

その直後、双方に決定機。
34分の岡山の攻撃、CB田中の縦パスをエリア手前中央で赤嶺がポストプレイで右にはたき、エリア内でイヨンジェに渡る絶好機。
イヨンジェはフェイントでブロックをかわし丁寧にシュートを放つも、ゴール左に惜しくも外れてしまいます。
36分は甲府の攻撃、ドリブルで持ち込んだ佐藤和弘のパスを受けた曽根田がエリア内左からシュート。GK一森に阻まれますが、こぼれ球が佐藤和の前に転がるという大チャンス。
しかし走りながらのシュートになってしまった佐藤和、枠の上に大きく外してしまいました。
結局そのまま前半は1-0で終了。

後半も立ち上がりは前半と同じ、いやそれを上回る岡山ペースに。
岡山の攻撃を必死で跳ね返す甲府ですが、前半とは打って変わってカウンターに繋げなくなり、防戦一方の展開になります。

岡山は前半見せていた左サイドの攻撃だけでなく右サイドを使う頻度も増やしますが、右SBの廣木は深く切り込む事無く手前からクロスを上げるだけに終始。
有効なのが左サイドからなのは変わらずで、後半25分には左サイドでスローインからボールを繋ぎ、上田がニアに入れた所を仲間が受けにいくも甲府・小出がクリア。
その後のコーナーキック、上田がクロスも一度跳ね返され、もう一度上がった上田のクロスに仲間が頭で合わせるも惜しくもゴール右に逸れてしまう決定機。

時間が過ぎていくとともに、前半同様審判の判定が色々おかしな場面を作っていきます。
スローインの判定に納得できない甲府・ウタカの姿が印象的で、23分には交代で退く事となった横谷(森と交代)が、戻るのが遅いと判断されイエローカードを受けます。
甲府側が割を食う場面が多かったと思いますが、29分にはフリーキックからの二次攻撃で甲府陣内左サイドでボールを受けた仲間に対し、ウタカがディフェンスに入ります。(相手の直接フリーキックのため守備に回っていた)
突破を図る仲間を倒して止めたのですが、ここは意外にもノーファール。
ウタカの献身性が光った場面でしたが、結果的にここが試合の行方の伏線になってしまった感がありました。

その後岡山の勢いは止まり、31分にはウタカの下に決定機が。
自陣から佐藤和がダイレクトで前線に送ると、これがウタカへの良質なスルーパスとなりエリア内でシュートチャンス。
しかしウタカの放ったシュートはGK一森の足に阻まれ、追加点とはならなかった甲府。
そして36分にウタカは交代で退きます(金園と交代)が、本人は納得いかない様子で、テクニカルエリアで伊藤彰監督と(with通訳)話し合いがなされていました。
これがこの後の展開を暗示しようとは。

岡山もその2分前に喜山→三村と交代、左SB椋原が右SBに回るという勝負手を打っており、それが功を奏す形となったのが37分。
椋原が回った右サイドから(関戸の)クロスが上がり、クリアボールを喜山が拾い三村→仲間とボールが回ると、仲間はドリブルで甲府ディフェンスを突破。
そしてエリア内に進入すると、甲府・小椋がカバーするべくスライディングタックル、これで仲間が倒され今度は笛が鳴りました。
PKの絶好機をゲットした岡山、キッカー・イヨンジェが巧い助走でGK河田を釣り出してのゴールでようやく同点に。

追い付かれた甲府は、その後短い時間ながら内田・佐藤和がミドルシュートを狙っていくなど見せ場を作りますが、やはり交代枠を使い切ったうえウタカ→金園の交代が「リードを守り切る」という明確なメッセージとなってしまった感が強く。(金園はポストプレイと守備は上手いFWだが決定力不足というタイプ)
それを遂行できなかったとあってはダメージも半端では無かったでしょう。

必死ともいえた甲府の攻撃を耐えた岡山、迎えた後半アディショナルタイムに歓喜の瞬間が。
上田のインターセプトから関戸→中野(赤嶺と交代)と渡り、中野がエリア内右からシュート。
GK河田がセーブしたもののボールはゴール方向へと浮き上がり、走り込んだイヨンジェがヘディングで押し込む執念の勝ち越しゴール。
「イヨンジェに良い形でシュートを撃たせる」という目的は、PKとがら空きのゴールという出来過ぎといえるシチュエーションで達成されての2得点でした。

これで4連勝となった岡山、9位まで転落した甲府を尻目に、自動昇格圏内を奪わんとする戦いに足を踏み入れる事となるでしょう。
この日の2得点でついに琉球・鈴木をかわして得点ランキング単独トップとなったイヨンジェを原動力に、尚上位のチームにどこまで食い下がれるかが見物です。

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