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DAZN観戦 2019年J1リーグ第20節 鹿島アントラーズvsサガン鳥栖

2019-07-24 16:33:55 | サッカー視聴記(2020年以前)

鳥栖・金崎の古巣対決となったこの試合。
カシマスタジアムは序盤から異様な雰囲気に包まれましたがそれはとりあえず置いといて。

2011年にJ1昇格を決めて以降、ずっとJ1の地位を守ってきた鳥栖。
とはいっても毎年際どい残留争いを勝ち抜いてきた……という訳でも無く、J1初年度(2012年)で5位という好成績を挙げると、2年後の2014年にも5位に入るなどかなりの高水準。

しかし同時に、現在の鳥栖を象徴する迷走ぶりが垣間見られたのもこのシーズンの途中。
2014年の前半戦は首位争いを繰り広げ、折り返し直後の18節で単独首位に躍り出る程絶好調でした。
にも拘らず、直後に監督の尹晶煥(ユンジョンファン)氏が、フロントとのビジョンの違いから退任するという事態に。その後成績後退→終盤に持ち直したものの、現実味を帯びていた優勝を逃す結果になったというシーズンでした。

その後現社長・竹原稔氏が就任したのが2015年のオフシーズン間際で、この頃から、楽天・神戸並とはいかないものの積極的な補強策に片足を踏み入れる事に。
欧州で監督経験豊富なフェリックス・マガト氏に監督就任を要請するも断られる、海外所属の日本人プレイヤー小野・権田(現ポルトガル・ポルティモネンセSC)を獲得するなど、欧州かぶれとも言われかねないチーム強化策を示していきます。
その総決算が前年途中におけるフェルナンド・トーレスの獲得であり、得点力不足の解消を期待したものの結果的に奮わず。
チームも初といえる残留争いの渦中に巻き込まれる事となり、その負のスパイラルを今季も継承してしまっている現状です。

オフシーズンに招聘したルイス・カレーラス監督が10試合で解任されるという風に、今季も「欧州かぶれ」は玉砕し、前年終盤に監督代行を務めた金明輝(キムミョンヒ)氏が正式監督としてこの苦境に挑んでおります。

そんな鳥栖を尻目に、長らく安定期を作り上げているのが鹿島です。
それでも前年の滑り出しは鳥栖と大差なく、スタートダッシュに失敗し低迷。
現監督・大岩剛氏への風当りも強まっていき、シーズン途中でジーコ氏が指導者・フロントに復帰する(コーチ兼テクニカルディレクター)という措置も採られましたが、そこからは落ち着きをみせ上昇機運に。
ACLを制覇しクラブ20冠達成という大団円を迎え、今季も開幕節・大分戦で敗れた以外は大きな崩れは見られず、リーグ優勝も視野に入る位置に
着けています。

そんな状況の中夏の移籍市場オープンに伴い、鹿島は3選手もの海外移籍が発表される事に。
FWの鈴木、サイドバックの安西に、今季から背番号10を背負っていた安部。
前年もセンターバックコンビの昌子・植田が2人とも海外移籍しており(昌子はシーズンを終えての移籍)、戦力的に明らかな苦境に陥っていてもおかしくないクラブの状況ですが、それでも大きな転落は見られず。
欧州リーグで活躍する人材を導入しても浮上の兆しが見えない鳥栖とはまさに対照的です。
確固たる基盤を現在も維持しているクラブと、基盤をかなぐり捨てて現在に至るクラブの対決、前半戦(13節)では後者がまさか(?)の勝利を挙げている事もあり、鹿島にとっては負けられない一戦。

ここで冒頭に戻りますが、金崎は前年のトーレス獲得で一際賑わいを見せていたのと同時期に、鹿島から鳥栖へ完全移籍した経歴の持ち主。
それまでは不調の鹿島のFWとして孤軍奮闘していた存在であり、さらに鳥栖側もFW補強の被りという要素(トーレスの他にも豊田が韓国クラブからレンタル復帰)もあり、誰しもが納得する移籍では無い典型例となりました。
その後鈴木の活躍・セルジーニョの加入もあり持ち直し、金崎の存在が軽くなってしまったのが鹿島というクラブの凄さでもありますが、金崎本人にとっては移籍後不本意な成績になっている事もあり納得しがたい状況に。

この日は豊田と2トップを組んだ金崎。ストロングヘッダーの豊田に、その周囲をサポートしつつ得点を狙う金崎という、古典的な2トップの組み合わせで鹿島に挑んだ鳥栖。その金崎に対し、序盤からバチバチと激しいディフェンスを披露し思うようなプレーをさせない鹿島選手。
逆に金崎自身も、前半14分には中盤でキープする三竿に対しチャージして反則を取られるなど、最初から臨戦態勢全開という雰囲気が感じられました。

場内のそのムードをさらに増長させたのが鳥栖の得点シーン。
先制された鳥栖でしたが、前半23分に金崎が左サイドに流れてボールを受け、カットインからグラウンダーで中に入れるとこれがシュートかクロスか区別がつかないコースに。
中に居た松岡が合わせにいって触れられず(?)も、これが直接ゴールに入ります。
松岡がオフサイドポジションに居た事で一旦はオフサイドという雰囲気になりかけましたが、結局はゴールの判定に。当然鹿島サイドは納得せず試合は5分程止まる事になりました。
記録上は金崎の得点になったため、松岡は触れていないからセーフという事なのでしょうが、ボールに触れていなくてもプレイに関与すればオフサイドになるというのが一般的。
このプレイで松岡は合わせにいって触れられなかった・ないしは故意にスルーしたかのどちらかであり、それでいてセーフならオフサイドポジションに居なかったの一択なはずですが、副審の旗は上がっていたので何とも釈然としない判定になりました。

しかしそんな泥仕合のような展開は鹿島のお手の物。
主力の海外移籍が何だ、レオ・シルバ、クォンスンテの欠場が何だと言わんばかりに試合巧者ぶりを発揮し、前半35分には勝ち越しゴール。(レアンドロのクロスを白崎が合わせる)
鳥栖のカウンターにはイエロー覚悟で止めるプレイも厭わずで、実際白崎・永木はそれでイエローを貰ったものの、結果的に鳥栖の中央突破は試合を通じて殆ど見られず仕舞い。
決して手放しで評価できるプレイでは無いですが、勝利至上主義の鹿島の思想が色濃く表れていて趣深かったです。
結果この日も勝利し3連勝となり、鹿島の遺伝子は主力が抜けても健在のようで、フロントもとりあえず一安心でしょう。
ただ磐田→仙台→鳥栖といずれも下位クラブが相手だったので、これからが真価を問われる事になりそうです。

一方、もう一つ釈然としなかったのが鳥栖のサッカー。
やりたい事は理解出来たし実際運が良かったとはいえ得点も生まれましたが、あまりにも単調な攻撃に終始していた印象です。
上記の鹿島の反則を含めた守備の固さという要素もありますが、サイドからの攻撃に偏り過ぎており中央突破のシーンは殆ど無く。
バイタルエリアに入れても、そこから結局サイドにはたくので怖さを感じませんでした。
前半アディショナルタイム、福田がシュートフェイントから左にはたいたシーンには可能性を感じましたが……(その後三丸の低いクロスに松岡が合わせにいくもGK曽ヶ端が抑える)

FWにボールを入れようにもすかさず鹿島のディフェンスラインとボランチに挟まれるだけで、結局サイドからのクロスorエリア内へのカットインだけが主たる攻撃になってしまう。
2トップも金崎・豊田が前線で張り付きがちで、この局面を打破するにはポストプレイのため降りてくる等工夫が欲しかった。(途中出場のトーレスは何度かそんなプレイを見せていましたね)
金崎がサイドに流れる場面は多々あったものの、それもサイド攻撃に偏っていたから起こっていたのだと思われます。
金崎には鹿島時代の前年前半にあれだけボール欲しさに中盤に降りてきては自身で突破を図っていたのは何だったのか、という野暮な事を言いたくなりましたが、ともかくこの日のような上位クラブとの対決ではこの攻撃では物足りなさを感じるだけに終わりました。

コメント
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