浅井久仁臣 『今日の中東』

1971年のパレスチナ初取材から、30有余年中近東を見続けてきたジャーナリストが独自の視点をお届けします。

ガザ撤退 同胞に対しての発砲

2005年06月15日 | Weblog
 8月に予定されているガザ地区からの入植地撤退の日が近付くにつれ、これまで避けられてきた問題も議論の場に上るようになって来ました。中でも、武装している入植者が撤退を強要するイスラエル警察と軍隊に対して発砲をして抵抗した場合の想定は、これまで表立っては議論されてきませんでした。  「アラブの海に浮かぶ小島」であるかのような表現をし、「国民一丸となっての国家建設」を国際社会にアピールしてきただけに、政 . . . 本文を読む

副大統領人事 カドウミ氏固辞

2005年06月15日 | Weblog
 アッバース大統領は懸案となっていた副大統領人事に言及し、PLO(パレスチナ解放機構)の政治局長で与党「アル・ファタハ」の議長であるファルーク・カドウミ氏が適任と推挙していましたが、カドウミ氏は14日、「副大統領は自治区にいるものがなるべき」との見解を明らかにしました。  カドウミ氏は1993年のオスロ和平合意に異論を唱え続け、本人はパレスチナに帰還することを拒否して北アフリカのチュニスに滞在して . . . 本文を読む

クレイ首相の妄言

2005年06月15日 | Weblog
 クレイ自治政府首相は14日、不穏な空気に包まれる自治区の治安に触れ、治安関係者が武装勢力をきちんと取り締まらなければ、「内閣業務」を休止すると述べました。  確かにこのところの自治区、特にこれまで比較的安全とされてきたラマッラなどでも武力衝突が頻発しており、憂慮すべき事態です。しかしながら、行政の長であるクレイ首相が治安当局に檄を飛ばすことはあっても、行政機能を休止させるなど常識では考えられない . . . 本文を読む

自治政府に不協和音?

2005年06月13日 | Weblog
 アッバース大統領の国際的評価が高まる中、お膝元では失望感が広がり始めています。  パレスチチナの人たちは「アラファト後」を担うアッバース体制に大きな期待を抱いていたわけではありませんが、先進諸国やアラブ周辺諸国からの支援の手が何らかの変化を生むのではと密かに期待していたのです。しかし、新政権になって変わったことといえば、イスラエルのガザ撤退が実現しそうなことと、自爆攻撃がなくなったことです。   . . . 本文を読む

「ガザ撤退後」を巡って動き急

2005年06月12日 | Weblog
 アッバース大統領は11日、2日間のガザ訪問を終えて大統領府があるラマッラに引き揚げました。  訪問中、アッバース氏は精力的に武装勢力や政治組織の指導者達と会談。イスラエルに対する武装攻撃を停止するよう必死になって説得しました。  一方、ダハラン内務相は11日、イスラエルのモファズ国防相と「ガザからの撤退後」について話し合う会談を持ちました。会談の中でダハラン氏は、「ヤセル・アラファト空港」の再開 . . . 本文を読む

イスラエル強硬派 聖地乱入

2005年06月07日 | Weblog
 6月5日は38年前に第三次中東戦争が開戦された日ですが、その翌日の6日、イスラエル人約4万人(警察発表)がエルサレムにあるイスラームの聖地「アル・ハラーム・アル・シャリーフ」めがけて押し寄せ、その内70人が敷地内に侵入、それを阻止しようとするパレスチナ住民との間で小競り合いとなりました。  この聖地は、イスラーム教の第三の聖地であると同時にユダヤ教にとっての聖地「テンプル・マウント(神殿の丘)」 . . . 本文を読む

議会選挙投票日延期に見られるアッバース氏の目論見

2005年06月06日 | Weblog
 自治評議会(国会に相当)選挙が7月に予定されていますが、アッバース大統領は投票日の延期を口にしています。  いよいよ彼の本性が出てきましたね。アッバース氏は、延期理由に「イスラエル軍のガザからの撤退」や「選挙制度の見直し」をあげていますが、本音は、このところの地方議会選挙におけるイスラーム教急進派「ハマース」の躍進阻止にあるのは明らかです。  地方議会選挙では、与党のアル・ファタハがなんとか過半 . . . 本文を読む

武装グループ、要人を一時拘束

2005年06月05日 | Weblog
 ガザ地区を通り、エジプト入りしようとした自治政府のシャーケル・アブ・エイダ駐北朝鮮大使が4日、40人近くの武装ゲリラに行く手を阻まれ一時拘束されました。その後釈放され、エイダ氏はガザ市に向かったとのことです。  武装グループの代表は報道陣に、「今日は誰もエジプトに行かせない」と語っているとのことです。事件の全容は明らかにされていませんが、自治政府の警察官採用を巡っての揉め事が原因とする情報もあり . . . 本文を読む

アッバース氏無事“帰国”

2005年06月04日 | Weblog
 ヨルダンの病院で心臓の簡易手術を受けたことから健康が心配されたアッバース大統領は4日、予定通りパレスチナ自治区のラマッラにある大統領府に戻りました。  今回の「入院騒ぎ」で自治政府内から副大統領職の新設が取りざたされていることを耳にしたアッバース氏は、不快感をあらわにしたとのことです。恐らく、念願の権力者の座に就いたばかりで「アッバース後」を考えたくなかったのでしょう。しかし、同氏の置かれた状況 . . . 本文を読む

反シリア派コラムニスト暗殺

2005年06月03日 | Weblog
 反シリア寄りで知られるレバノンの有名コラムニスト、サミール・カスィーア氏が2日、自宅前に止めた車に乗り込もうとしたところ車が爆発、死亡しました。爆弾は運転席の下に埋め込まれ、エンジンと連動するように仕掛けられていたと見られています。同乗の女性も爆発によって重傷を負いました。  カスィーア氏は、レバノンの有力紙「アン・ナハール」のコラムニストで、長年にわたり占領を続けたシリア軍に批判的な記事を書き . . . 本文を読む