ありゃりゃサンポ

近現代の建築と一日八千歩の散歩の忘備録。美味しいご飯と音楽と。
東京都全域を徒歩で塗り潰す計画進行中。

鳥取と島根 秋の旅⑤鳥取のしっぽと島根のしっぽ

2022年11月21日 | たびたび旅

鳥取県大山町の建築家のお宅の向かいの民家。艶のある黒瓦の屋根が余りに見事なんですが、それより目を引くのが鯱(しゃちほこ)。
国道9号線をドライブ中にもずっと気になっていたんですが、鳥取県の民家には鯱を乗った屋根が多い。
この話の流れは4年前に佐渡で経の巻を「発見」した時と同じなんですが、経の巻と違ってそのことを不思議がっている人がネットでたくさんいました。特徴的だからね。
興味深いネタですが今回は深追いはしません。

9号線で大山町を西へ。安いツアーがあったからという理由で鳥取に行って勢いで登る予定でもなかった吹雪の大山にスニーカーで登ってしまった友人がいますが。
私たちは遠くから見るだけ。次に来る時があればせめて大山寺くらい寄ろう。

やってきたのは鳥取の西の端っこ、鳥取を一匹の虎の形に見ると尻尾に当たる弓ヶ浜半島。まずは尻尾の根元に近い皆生温泉(かいけおんせん)。
沖に作られた離岸堤が海岸の砂の流出を防止しつつ、鋸の歯のような独特の砂浜の形を生み出しています。

9月のブラタモリ「境港~米子」の回は皆さん見ておられると思いますが。
この半島が江戸時代からのたたら製鉄の副産物として人為的にできた日本最大の砂洲で、海中の温泉湧出地点が短期間で陸地に変わった件など本当に興味深かったです。
今回の鳥取旅行の行程はブラタモリを見てほとんど決まったと言っても過言ではありません。

皆生温泉のホテル東光園。1964年菊竹清訓。泊るのは絶対にここと決めていたのに2か月前でもなぜか満室で予約できず。残念でした。
まあでもそのおかげで建築家のお家に泊れたのでヨシとします。東光園は中を見せてもらえたので明日じっくりと。

米子市から境港を通り過ぎて今度は島根県の尻尾、島根半島へ。島根半島に渡るには主橋部の全長434mの長大トラス橋、境水道大橋で境水道を渡ります。
鋼3経間上下路式ゲルバートラス橋。平坦な砂洲である米子側から、隆起した山が連なる鳥取半島を結ぶため、左右非対称の独特の形をしています。
右側(境港)から緩やかな傾斜を登っている部分は上路式、大型船を通すために高さが必要な中央部分は下路式という構造は先日歩いた東京ゲートブリッジの原型です。

境水道大橋から6kmほど半島の先の方に美保神社。

美保の神様は鳴り物が好きなという習俗が広く伝わり、過去にたくさんの楽器が奉納されてきました。奉納された800を超える楽器が重要有形民俗文化財に指定されています。

私ももう少しいろいろ上手く演奏できるようにお祈りして来ました。拝殿は昭和3年に伊東忠太の監督設計で建てられたもの。伊東忠太のカーブはきれいです。

壁も天井なくすべての木組みがむき出しのまま。たまたま商売繁盛の御祈祷が行われていて、歌舞音曲の本場の神様の雅楽を聞くことができました。

鳥居のすぐ前が港です。

美保神社の門前町として、また北前船の寄港地としても栄えた美保関。美保神社から仏谷寺に至る石畳の通りが江戸時代の参拝道の遺構です。
神社に近い部分には青石で知られる越前石が使われており、現在は「青石畳通り」として観光の目玉の一つになっています。

この青石の石畳、事前にネットで写真を見ると、晴れの日より雨で濡れている方が圧倒的に風情が出て美しいんです。
美保神社に着くまでは青空も見える天気だったのですが、直前に「青石畳通りにいる間だけ雨にして下さ~い」と声に出したらなんと数分後に急に雨が降り始めました。

過去の旅行でも雨を降らないようにする願いは9割以上叶えられていました。でもさすがに雨を降らせるのは初めてでした。いや、単なる偶然なんですがなんかすごい。
この3枚の写真が撮影時間通りなんですが、青石が徐々に濡れて艶っぽくなっているのが分かるでしょうか。

国指定有形登録文化財「潮待ちの宿 美保館」。一人旅なら泊まりたい。写真に写るほど雨が降っていました。

青石畳通りを通り抜けて港に出たところで雨雲は海の向こうへ去って行きました。ちょっと不思議な体験でした。

元来た道を戻って境港市に。すっかり青空。Rさんリクエストで1997年にこの地で開催された「山陰・夢みなと博覧会」のシンボルだった夢みなとタワーへ。

鉄骨と鳥取県の木材でできた集成材を組みわせた造り。設計は杉本洋文(計画・環境建築)

大山や美保関がよく見えました。

境港から出雲方面に帰るには中海にある島を2つ越えて松江市に入ります。一つ目の江島に渡る橋が車のCMで、急勾配の「ベタ踏み坂」として知られるようになった江島大橋。
これは緩やかにカーブしながら高さ45mの最後部を目指している所。

こちらが「ベタ踏み坂」を下っているところ。それほど特別に急斜面で葉ありません。リンク先の写真のように見えるのは3km離れた場所から眺望宴で撮影しているからです。

江島大橋を渡り終えて、ベタ踏み坂を振り返って見ている所。このくらい離れるとそれなりに急坂に見えます。

出雲空港について出雲そばとビールで一息入れてから帰りの飛行機に搭乗。帰りは普通のクラスJシートでした。シートベルトを締めて外を見たら窓の外は雨。
出発数日前の天気予報では雨寄りの予報だったのですが今回も旅行中はまずまずのお天気だったというお馴染みのパターンでした。

今回も良き旅でした。これで経県値での未踏の地はなくなり、残るは「行きはしたけど泊ったことのない県」ふたつ。徳島と山口が残るのみとなりました。
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