ありゃりゃサンポ

近現代の建築と一日八千歩の散歩の忘備録。美味しいご飯と音楽と。
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千葉県立中央図書館

2021年06月08日 | 建築&土木見物

前川國男建築事務所出身の大高正人が設計した千葉県立中央図書館。1968年。
wikipediaに記載されている大高正人の代表作品は僅かに15件。このブログでは高崎建築散歩での群馬県立歴史博物館に続いて2度目の登場です。

外観の印象は年代なりに古びたもの。近代建築の流れの中で多くの重要な要素を持っている建物ですが、施設としては予算をかけられなかったことが分かります。

建築家のデザインと思しきコンクリートの案内表示も汚れと風化でレトロ感を演出。

駐輪場にはサークル状のコンクリート屋根。
建物は千葉城に続く高台の裾にあって高台の傾斜を活かして設計されています。玄関には右手の階段で1階分上がります。

軒の下に連続して突き出ている梁の先端が特徴的。これがこの建物の構造を外部に向かって示している最も特徴的な部分です。

建物が耐震基準を満たしていないことから、利用の安全を確保できない場所の使用が制限されるというお知らせ。3年前からこうなっています。

入り口入ってすぐ。低い玄関屋根の圧迫感の後で、スキップフロアの階段の上でいきなり空間が解放される仕組み。
天井のプレキャストコンクリートになる柱・格子梁は木村俊彦が考案した「プレグリッド・システム」を実現したもの。
定型のグリッドを組み合わせ、十字の断面を持つ柱で支える。自由な建築空間を作りながら将来の拡張にも備えるというメタボリズム理論を実現しています。
外部に飛び出していた梁はこのグリッドの先端でした。
青いパネルの内部が立入禁止区域。

階段を上って玄関を振り返る。

パネルで囲われた部分は現在は書庫として使用していますが、それまでは美しいロビーとして機能していました。壁に貼られたチーバ君が少し切ない。

飛び出すpcコンクリートのユニット先端部は室内でも見られます。

建築理論を実践した結果、芸術的に美しい建物になってしまったところにこの建物の価値があります。

柱やグリッドは全て同じ規格サイズで作られています。工場での作成時に、その部材が使われる場所って想定されていたのかな。

室内ではグリッドの窪みに多孔ボードが張られて天井のようになっています。コロナ対策のビニールシートがなんとなく被災感を醸し出す。
入り口で申告して住所氏名など記入してから館内の撮影が許可されます。

数種類のコンクリート仕上げで変化をつけています。外壁部分の大部分は斫り(はつり)を入れて無機質な雰囲気を和らげています。

建築的価値が高いものの図書館としての存続はかなり厳しく。日本建築学会から3年前に保存活用に関する要望書が出されていますがこの先どうなることか。



見納めになる可能性も否定できないので多めに写真載せておきます。

後に見えている高層ビルが千葉県庁。
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