このblog内ではときどき申し上げておりますが、
ワタクシはアメリカのデモクラシーを信奉している人間であります。
それは、1988年の秋に遡ります。
会社に入って5年目の秋に、当時提携していた米国の投資顧問会社に半年間の研修出張を命じられました。そして、その研修の前に英語の勉強をするため、1か月間、テキサス州ヒューストンにホームステイを経験しました。
丁度このタイミングは、米大統領選の真っ盛りの時期で、共和党候補は父ブッシュ、民主党候補はデュカキス。激しい選挙戦が続くのですが、選挙開票日当日は、アメリカ全土の家が選挙結果を待つ間、どこでもホームパーティを開いていて、新大統領が決まる瞬間を今か今かと固唾を飲んで待ち構えているのです。
そして、全国ネットのTVで選挙速報が報じられると、まずは負けた民主党候補のデュカキスが、勝った父ブッシュへ直接TELによって祝福、これをきっかけに、共和党支持者も民主党支持者も、1年半にわたる戦いを終えて、新しい大統領の誕生を祝って乾杯。「2つに割れていたアメリカがまた一つに戻る」時を迎えるのでありました。
この瞬間を目の当たりにした時、ワタクシはアメリカのデモクラシーの素晴らしさに感動したものであります。
もちろん、アメリカの実情は、「人種差別」「銃社会の矛盾」「絶望的な貧富の差」など、どうしようもない問題を抱えています。しかし、それを超越するくらいの、自由の素晴らしさ、絶対的正義の存在を担保するデモクラシーがドンと構えてくれているのです。
あれから30年以上が経過しました。そして、前回の2020年の米大統領選。
激しく罵倒し合う選挙戦に加えて、選挙結果を不正と断じて認めようとしない現職の大統領。挙句の果てに、デモクラシーの殿堂である米国議会に暴徒を乱入させるという事態に。デモクラシーの盟主であるアメリカの現職の大統領が、デモクラシーの根幹を破壊する暴挙に出た訳であります。
そして、今回の2024年の米大統領選。
そのような事態を引き起こした張本人が、あらためて新大統領の候補として絶対有利な状況にあります。もちろん、これは対立候補である、現大統領があまりに不甲斐ないということもありますが、それ以上に、さまざまな原因があるにせよ、このような候補者を最有力候補に推し立てている米国民の問題が大きい。
建国から248年。
古代ギリシャとローマの事例から、民主主義の賞味期限は300年程度と言われていますが、アメリカ合衆国の民主主義は、250年足らずでもう賞味期限が切れてしまったのか⁉
大変残念でなりません。