世界中の金融業界あるいは資産運用業界に身を置く人々から、「もういい加減にしてくれ!」という声が聞こえてくるのがBrexit問題。
メイ首相の退任が決まり、保守党の中で次の党首選挙が行われており、ボリス・ジョンソン氏の当選が確実視されています。そして、そのジョンソン氏は「10月には予定どおりEUから離脱する」と宣言しており、このままでいけば所謂「Hard Brexit」ということになります。
アイルランドと北アイルランドの国境問題とか、一番大きな問題を差し置いて、ロンドンのシティの混乱を述べるのは気が引けますが、ロンドンがなぜ金融の中心としての地位を保っているかと言えば、この街には銀行・証券・保険の営業関係者のほか、金融業にかかる法務・税務・会計のプロはもちろんのこと、資産運用のフロント・ミドル・バックの世界有数のプロ達が、欧州大陸・北米・アジアオセアニアの世界各地から集結していることが挙げられます。特に欧州大陸からの人材は数多く、しかも彼らはEU内を自由に動ける現状の仕組みをフルに活用してロンドンで職を得ています。
これがHard Brexitとなると、どうなるか? 金融業・資産運用業・法律事務所・会計事務所のスタッフの3割から4割が、ある日突然ロンドンから消えることになります。今のステイタスではロンドンでの就労が不可となるからです。まぁ、金融街としてのシティは、その機能が一度スタックすることになるでしょう。しかし、保守党のジョンソン氏も、イングランドの世論も、金融街のことなど全く関心がありません。
むしろ、「今まで不当な高給を得ていやがって、いい気味!」くらいの気分なのでしょう。(続く)