新型コロナによる死者が10万人を超えたアメリカでは、暴動騒ぎも相まって、有色人種などのマイノリティの死亡率の高さが頻繁に報道されており、英国でも同じ傾向が見られます。
ところで、ここからが本題ですが、両国ともに、その状況を踏まえて、「マイノリティの健康を守るための特別な施策を打つべし」と唱える主張はマイノリティの間では出ていますが、メインの世論としては全然巻き起こっていません。むしろ、貧困層の医療のために、余計な税は使うなとか、医療保険料が余計に高くなるのは勘弁してくれだとか、むしろ、多くの国民からは強い抵抗感が示されている始末。かなりクールな反応なのです。
アングロサクソンの特徴とも言えますが、根底にある考え方は「適者生存」「淘汰」の思想。一番大事なのは、どの国よりも早く「集団免疫」を得て、経済活動を真っ先に再開することが国益に資するということ。その目的のために、弱者が淘汰されるのはやむを得ないという考え方なのです。
マスコミなども、その本質を理解した上で、「集団免疫」=「淘汰」の考え方を批判するような論調にはなっていません。そんなことは、彼らにすれば当たり前なのです。もちろん、国家資本主義の中国も同じ考え方です。これだけの死者が出ていて、それでも経済活動再開を優先するのは、すでに「集団免疫確保」が政策の中心に置かれているということ。
一方、我が日本はどうでしょうか?
日本政府が「集団免疫のためには、弱者の犠牲はやむを得ない」などと公言することはあり得ませんが、もしも米英中をはじめ、近い将来に各国が次々と「集団免疫」を得ていくとしたら、日本としてもグズグズできなくなります。そうなると、感染率の低さが自慢できる時期は今だけで、そのうち、集団免疫率(抗体陽性率)の高さを競い合う動きになるはず。この動きの中で、最後まで取り残されるのが日本と日本人なのでは? そんな心配をするのは私だけだけなのでしょうか。