総選挙の結果をまとめると、①与党で絶対安定多数確保(政権継続の承認)、②自民党が単独過半数確保も議席減少、③立憲民主党は野党共闘によっても改選前議席確保できず⇒党首・幹事長の辞任、④維新の会の躍進、⑤甘利幹事長が小選挙区で落選⇒幹事長辞任、の5点。
上記の①②④は、選挙前の想定どおり。一方で、③は内容面から見ても、自民 対 立民で激戦だった小選挙区は多かったので、最後はギリギリのところで負けた選挙区が多かっただけ。むしろ、野党共闘は、自民・公明両党にとっては大きな脅威になっていたことは事実だと思います。
それが顕在化したのが、⑤を象徴とする、自民党大物議員の落選の数々。特に⑤の甘利幹事長は、岸田総理を自民党の総裁選で勝利させた立役者で、岸田政権の屋台骨にあたる人物。この人が幹事長ポストから外れてしまうのは、大きな痛手になることは明らか。なお、甘利幹事長の小選挙区落選については、もう少し深いところにも「震源」を求めることが出来ます。
もともと、菅前政権時代の二階幹事長は、公明党とのパイプ役として、長きにわたり自公連立の要として機能していました。二階さんと公明党が親密だった裏には、両方ともに、中国との関係があります。二階さんは自民党きっての中国親派。また、公明党も中国上層部とのパイプが広く深いため、直近の米国による中国強硬策には距離を置く立場。
しかし、岸田新政権は、米国バイデン政権との関係を重視して、二階幹事長を外して、対中国でも保守的な立場を取る甘利氏を幹事長に据えました。この結果、長年蜜月だった公明党と自民党との関係にも、クールな風が吹き始めた。実際、公明党による選挙協力をフルに受けられた選挙区と、甘利さんのように、公明党との距離感を残したままの選挙区では、野党共闘でスクラムを組んだ立憲民主党候補に、足下をすくわれるケースが続出したのが今回。
今回の総選挙の総括としては、やはり、今の自民党にとって、公明党の協力なしには、与党絶対安定多数はもちろんこと、単独過半数の維持も相当に難しいことを認識させられたこと。この1点が重いと。結果として、対中国への各方面の対応についても、バイデン政権が眉を顰めるほど、「腰が引けたもの」になっていくと思います。