迦陵頻伽──ことだまのこゑ

手猿樂師•嵐悳江が見た浮世を気ままに語る。

二十六年の“出發點”。

2021-01-17 06:39:00 | 浮世見聞記


阪神淡路大震災が發生して、今日の5:46で二十六年。

所用のため、その少し前の時刻に起床したのも何かの縁だらうと、私もその時刻に共に黙祷す。


當時學生だった私は、帰宅途中に立ち寄った友人宅のTVで、生々しい中継映像を見詰めてゐた。


その二年後に大阪へ移り住んだ私は、すぐに神戸の街を訪れてみた。

街はかなり速く復興してゐたが、まだ所々に更地が残ってゐた。

TV映像のなかでしか知らなかった世界が、急に現實世界となって私に強く迫ってきたことを憶えてゐる。

そして桟橋が海中に沈んだメリケン波止場の前から、しばらく動けなかった。



震災當時に大學生だったと云ふ或る人は、「これでみんな、スタート地點に立った……」と思ったさうな。

その人は都合が惡くなるとすぐに哲學を語り出し、そして平気でウソをつけるヒトだったが、その時の気持ちだけは、たぶん本當だったと思ふ。






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