昼下がりに何となく聴いてゐたラジオ番組に、今年で活動四十年と云ふロックシンガーがゲスト出演してゐた。
その方面は門外漢な私には初めて聞く名前だったが、曲も、トークも、人生經験を重ねた人ならではの厚味と深味があり、自然と耳が惹きつけられる。
タダの勢ひと表面(うはべ)だけのカッコ付けですぐにそれが剥がれて消えるのが多い世界で、四十年。
浮世はなにかと、續けた者勝ち。
ところが、その續けるといふことが、なかなか難しい。
しかし、さういふ真理を超えた格好良さが、その人からは聞こえてきた。

“本物”に耳で逢へた、今日の鬱陶しい雨模様を忘れられるひととき。