横浜市港北図書館で、ドキュメンタリー映画「続・綱島温泉物語~石碑が教えてくれたこと~」を観る。

2018年12月、横浜市港北区樽町の新旧綱島街道の分岐点の私有地に、半ば傾いて建ってゐた「ラヂウム霊泉湧出記念碑」が、工事によって危うく廃棄処分されさうになった“事件”が、このドキュメンタリー映画が制作されたきっかけ。

それだけに今回の上映会はずっと樂しみにしており、




2018年12月、横浜市港北区樽町の新旧綱島街道の分岐点の私有地に、半ば傾いて建ってゐた「ラヂウム霊泉湧出記念碑」が、工事によって危うく廃棄処分されさうになった“事件”が、このドキュメンタリー映画が制作されたきっかけ。
歴史を知る地元の方々の尽力によって間一髪のところで“救出”された記念碑は、翌2019年2月15日、最初に建立された場所に近い位置へと移設され、たまたまその時に通りかかった私は、土地の歴史が消滅せずに済んだことを我が事のやうに喜んだものだった。

それだけに今回の上映会はずっと樂しみにしており、

上映開始の直前には席を追加したほどの満員盛況ぶりに、この一連の出来事に関心を寄せる人口の多さを知る。
初めに、2015年に制作され市役所内のモニターで放映されてゐた前作「綱島温泉物語~東京園休業の危機~」が上映され、大休憩室のステージではよくライヴが行われてゐたとのことで、惜しいなぁ、と思ふ。
今回の續編では、往年の綱島温泉を丹念に調査してゐる横浜開港資料館學藝員の現地解説と併せて、當時を知る地元の方々の貴重な証言が多く紹介され、現在はマンションや住宅が建ち並ぶ“ベッドタウン”となり、かつての面影を失った「綱島温泉町」が、

人の記憶のなかではまだ生き續けてゐることが証明される。
そして、いまや顧みる者がいないと思はれてゐた古い記念碑が、實は多くの人々に認識され、愛されてゐたことが今回の“事件”と映画によってはっきり示されたことに、私は感動する。
綱島温泉の名残りだった東京園の跡地には、鐵道新路線の地下驛が建設されてゐる。

地上は複合施設になると聞いてゐるので、それについて一つの“提案”を関係者の方に申し上げて、私は図書館をあとにする。