
國内忘所の急傾斜地帯で、「兎坂(うさぎざか)」と札のあるイカニモな古道を見つけ、古道探訪者として大いにそそらるる。

道に入って間もなく舗装は途切れて土道となり、片側の興醒めなマンションの境界フェンスは見ないやうにして、なかなかの急勾配に古への原風景へ想ひを馳せ……、

る間もなく、頂きに着いてしまふ。
坂の名の由来とかは、どふでもよい。

頂きより、いま来た道を振り返って、昔と令和(いま)がフェンスを挟んで屹立したやうな光景に、サテ私はどっち側に付かうかと考へる。
……噺は、これでおしまい。
出逢ったその瞬間に、どれだけ“深味”を味はへるか、それが“樂しみ”と云ふものサ。