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迦陵頻伽──ことだまのこゑ

手猿樂師•嵐悳江が見た浮世を気ままに語る。

雫に笑む。

2019-06-11 18:45:28 | 浮世見聞記
あじさい──それは、雨が湿っぽく降り続くイヤな季節を象徴する花でしかなかった。しかし、年齢(とし)を食ふにつれて、この花の美しさに気が付くやうになった。花びらに雨滴を乗せた、その静かな美しさ。晴天の輝きの下で見る花ではない。憂鬱な雨の下で逢ふ、一服の清涼。きれいだな──さう感じて足を止めたところが、すなはち自分だけのあじさいの名所。この花がなければ、この國の梅雨はただの長雨時でしかない。そんな人間 . . . 本文を読む