マンタマンタに告ぐ

映画・政治経済・日常生活などの観察日記。

●渋谷78

2008-06-13 22:42:47 | Weblog
宮益坂通り

隊長が、まだマニュアル本を読んでいる。

 いい加減、隊員たちは指示を待ちくたびれてきた。

 具体的で妥当な鎮圧方法の妙案が、浮かばない。手がない。

隊員A「隊長。俺たちも一緒になって、踊りませんか。こんな仕事なんか、やってられるかい」

隊員たちは、大きくうなずいている。踊りたくて、ウズウズしている。警察の職務など、放棄だ。

隊長は、本を閉じた。両目がショボショボしている。右手で、両目を軽くこすった。

 5万人が相手では、機動隊も警官隊もどうすることもできない。逮捕は無理だ。選挙が近い。

下手に手を出せば、死傷者が続出する。それは、許されない。隊長の出世や給料に響く。

 消防車を使用して放水でもするか。しかし、車両は進入できない。他に、妙案は浮かばない。

上空では、テレビ局のヘリコプター5機が旋回をしている。

隊長の後方の路上では、徒歩で駆けつけたテレビ局のカメラマンや新聞社の報道陣たちが、詰め掛けている。

彼らは、人が多すぎて、交差点内に近づくことができないようだ。

報道陣が大勢いる。下手な鎮圧行動はできない。

隊長「踊るかー?」

隊長は、もうやけくそだ。自分の正直な気持ちになれば、「踊りたい」。この気持ちには、勝てなかった。

隊長は、とうとう職務を放棄して軽く下手くそな踊りを披露するのであった。

隊員Aも、隊長を見て踊り始めた。他の隊員たちも、追随して踊り出だした。警官隊も、一緒になって踊りだした。

もう、どうにでもなれ。昇格も昇給も、知らん。人命が優先だ。

今が楽しければ、それでいい。

朝になれば、みんな疲れて帰宅するだろう。それまでの辛抱だ。

今日は、お祭りだー。一晩、みんなで大いに踊り明かそう。
俺が許す。

モニタービルA
 歌って踊っている、ヒロシたち。











●渋谷77

2008-06-13 08:20:15 | Weblog
宮益坂通り

機動隊・警官隊は、隊長の指示を待っている。

その隊長は、まだマニュアル本を読んでいる。首をかしげている。

記述と現実の世界との間に、ギャップがある。大きな開きがある。その内容に、納得がいかないようだ。

隊長の指示があるまで、機動隊・警官隊は、モニタービルAを見ている。もう、ダラダラとしている。

こんな隊長の下では、鎮圧する気がないようだ。

 隊長も、どう対処してよいのか分からないようだ。

モニタービルA

モニターのヒロシが、叫んだ。
ヒロシ「みんなー、渋谷、大好きかーっ!」

交差点

宏と博恵「大好きーっ!」
宏と博恵が、大声で叫んだ。

5万人の観衆「(叫ぶ)大好きーっ」

 先輩「大好きーっ」
先輩も、思わず叫んでしまった。

 睨みつける、巡査たち。ヒンシュクを買ってしまった。

 先輩、部下たちに恐縮する。右手で、髪の毛をかきわけている。

 久美子、ディレクター、カメラマンが、人込みをかきわけて中心部に向かっている。

モニタービルA

歌い始める、ボーカルA。

踊り始める、ワイルド・ジャックの4人。

 ヒロシも、軽快に踊っている。

 渋谷をこよなく愛する者たちへの、活気ある応援歌である。

交差点
踊っている5万人の人たち。

宏と博恵は、幸せそうに見つめあい、チークダンスを踊っている。

踊っている、道代とマスター。

1人で勝手に踊っている、ピエール。

宏「時間ができたら、2人で区役所に行こうな」

博恵は、黙ってうなずいた。そして、心の中で思った。

博恵の声(ハッキリ、結婚して下さい、と言ってよっ!)

そして、言葉にして宏に質問した。

博恵「宏-。結婚式は、都内のホテルがいいなー」

宏、その言葉を無視した。チークダンスの踊りの速度が、いつになく早くなった。

宏は、心の中でつぶやいた。(お金がないよー)。それが、本音のようだ。

博恵は、ムカっとした。乙女の夢を、台無しにしないでよー。
    ○    ○

踊る実年サラリーマン4人。
踊っているアフリカ系アメリカ人の、男女3組。

アベック4組が、踊っている。
チークダンスを、宏と博恵が踊っている。

暴走族風の男女10人が、踊っている。
我を忘れ、切れた状態で踊っているOL10人。

10代のヤンママ5人と、その子供5人が踊っている。
ヒップホップを踊る、7人の若い男女。

修学旅行生(女子高校生)9人が、踊っている。