昨夜は、美瑛町主催で、「自治体財政の苦境と有名観光地における税財政のアンバランス」というタイトルの講演会があったので夫婦で参加して来ました。
講師は、青木宗明さんという神奈川大学経営学部教授で、地方自治体の財政や税制を専門にされている方でした。現在美瑛町が設置している観光振興委員会の副会長をされているということで、今喫緊の課題となっている美瑛町に独自の法定外税(宿泊税、駐車場利用税・・)を設けるかどうか、その検討課題などを町民に知らせるべく開催されたものでした。
平日の午後5時半からの開催ということで、案の定決して多い参加者ではありませんでしたが、力のこもった内容と語り口で有意義な時間だったと思います。
青木氏はまず前提として美瑛町のような人口1万人以下の小さな町村が2000年の地方分権改革の動き以降地方交付税が削減され、人口減で住民税や固定資産税が減少し、このままでは財政破綻してしまう極めて危機的な状況にあることから始めました。私達も美瑛町に住み始めて以来気がかりではありましたが、具体的な数字を確認したことはなかったので、昨日の話で自主財源である住民税等地方税は1万人以下の町村の平均12.4%にも満たない9.5%しかないことを知り驚きました。
そういう財政の町に年間230万人という人口の200倍を超える観光客が訪れるのですから、町が観光行政で支出する経費を原因者である観光客に負担してもらうための税には理があるというのが青木氏の主張です。
全国でも広島県廿日市市(はつかいちし)がこの10月から宮島訪問税を導入した事例や熱海市の別荘等所有税、太宰府市の歴史と文化の環境税など極めて少数ながら自治体が独自に法定外普通税を課していることが紹介されました。ただ、それら以外の法定外税としてはほとんどが原発関連のものであまり参考にはなりません。
我が美瑛町は、青木氏などを中心に入域税、宿泊税、観光施設利用税などが検討されているようですが、安芸の宮島という観光客の出入りが把握できる宮島訪問税は美瑛町の例えば青い池では入場者の把握が難しく、ほとんどの観光客が宿泊しない通過観光型の美瑛町では宿泊税は逆に更に宿泊者を遠ざけてしまうことにもなりかねず、ならば観光施設利用税としての青い池駐車場利用税のようなものが考えられるのではないかと話していました。
しかし、この考え方では1人乗車の場合でも5人乗車の場合でも1台当たり100円とか200円の課税となり税に不公平感が出来てしまい現実的ではないように思います。また、そういうことならわざわざ新税を導入するために中央省庁の総務官僚などとの不毛な論争をするよりも駐車料金の値上げをすれば良いだけのように思えてしまいます。
前途多難、しかし青木氏が言うように自治体財政の危機は待ったなしですから、今後の行方を見守らなければならないと思いました。