昨日は、毎月恒例となっている富良野やすらぎの刻があり富良野へ出かけて来ました。富良野在住の脚本家倉本聰さんのプライベートライブラリーと謳ったこの企画は、毎回倉本さんの70年、1000作を超える作品のなかから彼が選んだものを鑑賞し、その後にかつての富良野塾のメンバー達と作品への思いや裏話を語るものです。
富良野演劇工場
昨日の鑑賞作品は1974年から75年にかけてフジテレビの土曜劇場で放映された「6羽のかもめ」全26作の中から第2話「秋刀魚」と第13話「切符屋の熊」でした。出演者は淡島千景、加藤大介、高橋英樹、長門裕之、夏純子、栗田ひろみに加えて中条静夫、藤岡啄也など今思うと錚々たる方々でした。私達は、このドラマが放映された頃は学生だったり社会人1年生だったりの時で多分テレビドラマにはほとんど関心がなかったと思われ、タイトルも含めて全く記憶にありません。
内容は、大女優(淡島千景)が主宰する劇団かもめで共同生活をする俳優やマネージャー達のどちらかと言えばコメディタッチのストーリーです。出演者の中で今の段階で驚いてしまったのは今でもテレビなどで良く拝見する高橋英樹の美男子ぶりと初々しさでした。このドラマシリーズは後の「北の国から」シリーズのように大きな視聴率を稼いだものではなかったようですが、倉本さんにとっては曰く付きの作品だったようで、テレビ業界という今も話題になっているフジテレビ製作で業界関係者にはセンセーショナルなものだったそうです。
トークショーで彼が語ったのは、この時はNHKの大河ドラマ「勝海舟」を執筆中で、しかしNHKの体質を嫌った倉本さんが週刊誌の取材でNHK批判ととられる発言をしたことから騒動になり、契約中にも関わらず北海道(札幌)へ逃げて社会から消えていた時代でした。大河ドラマの残りの部分はかろうじて北海道から東京にいた奥さんを通じて届けていたそうですが、他には一切仕事が来なくなり、北海道でトラックドライバーになる覚悟をしていた時にフジテレビが持ち込んで来た仕事だったそうです。
フジテレビもまた今と同じようにどん底状態だったようで、倉本さんがテレビ批判、NHK批判を書いても良いかとただすと「何でもOK」の返事をもらって書き始めたのがこのドラマだったそうです。フジテレビが立ち直ったのは「北の国から」(1981年放送開始)の頃からではないかと言うのが倉本さんの自負を込めた思いのようですが、では今のフジテレビにはそういう危機をチャンスとしてよみがえることはあるのかと聞くと、もう大きな企業体になり過ぎているし「きれいでなくなっている」から無理ではないかというのが彼の見立てでした。
演劇工場から見た富良野スキー場の夕景
「北の国から」はまだ書きたいと純(吉岡秀隆)などと画策したが過去の映像を一切使わせないという態度で断念せざるを得なかったとも話していました。昨日もテレビの興隆と衰退を同時代で生きて来た彼の言葉には味わいがありました。