トレード備忘録 & MT4/MT5インディケータ及びEAの開発

日々のトレード備忘録及びMT4/MT5に関する事項

究極のFX戦略「マーチンゲール」【その一】

2021-10-02 11:25:19 | 投資

新聞の社会面を読んでいると、FX取引による大規模な脱税事件が報告されていることがある。海外口座を利用したハイレバレッジ取引で得た利益の税務申告漏れということであるが、それがどのような取引による利益なのかの詳細な説明はない。ネットで検索をかけてみると、たいていの場合、マーチンゲールという言葉にたどり着く。

そんなことがあってか、FXを始めたばかりの方からマーチンゲールを組み込んだEAを作成できないかとの質問を受けることが多かった。何しろ、ルーレットの赤と黒の二分の一の確率に賭けるバクチ手法であるから、やられるならハイレバの海外口座で裁量取引としてやってくださいと軽く言い逃れていたものである。確率が2分の1であるから、資金が続く限り勝ち逃げできる計算になるが、投入できる資金は有限であるから、たいていの場合、この面で破綻する。

筆者が以前に利用していた有名海外口座でも数ヶ月連続して勝率第一位に輝いた手法があった。そのEAの論理式も比較的単純なマーチンゲールであったため、自分でEAを試作した後、口座に20万円を入金して、いきなりリアルで自動売買をやってみたことがある。もちろん、口座を吹っ飛ばすことを覚悟の上であった。詳しい記憶は残っていないが、最初の2ヶ月程は極めて順調であった。口座残高も30万円近くに膨れていたであろうか。そんな時、久しぶりに休暇を取って北陸に1泊旅行に出かけた。ノートパソコンとネット接続用のポケットWIFI持参である。途中、高速でチャートを開いてみたが、EAの動きは順調で安心して車のハンドルを握っていた。

宿は福井県の海辺、ひなびた寒村の民宿であった。風呂に入って磯料理を楽しんだ後、やおらパソコンを開いたところが、ネットに繋がらない。今ではあり得ないと思われるが、持参のポケットWIFIでは電波を捉えることができない圏外だったのである。しかもその日は運悪く金曜日の夜。何事もないことを祈って眠るしかなかった。

翌朝、宿を出て高速のサービスエリアでパソコンを開いてみると、悪い予感は当たるもの。金曜日の欧州とニューヨーク市場で取引していたUSDJPYが大暴落(円高)していたのだ。なんと2ヶ月間貯め込んでいた10万円が消えており、辛うじて元の証拠金の額に戻っていたのだ。得た教訓は、単純なマーチンゲールは危険が大きすぎること、相場急変で窓開けにもなりやすい日本時間金曜日の午後以降は取引をすべきでないことであった。

それ以来、マーチンゲールに手を出すことはなくなったが、ブログでその話題を取り上げることはあった。開発したEAはとても一般公開には無理と判断をし、希望者には無料で提供することとした。それらの方々の一部とは今でも連絡が取れており、さらに改良を加え、リスクを軽減するオプションを追加したバージョンを試していただいてきた。改良の中身は; ① 負ければ倍額(2.0倍)ではなく、1.0倍から2.0倍まで小刻みに倍率を選定できるようにした、② 従来の単純な逆張りではなく、2回目からのエントリーは順張りとするオプションを追加した。

順張りとは、倍額(2.0)マーチンの場合、買い取引で相場が急落した場合には、途中のポジションは取らずに待機買い注文のみを残すというオプションである。例えば50 pips間隔のマーチン注文では、最初のポジションの後、2倍のポジションはなく(待機注文)、次の4倍のポジションが発生するという具合である。不必要な2倍分の証拠金が不要となるに止まらず、利益確定のタイミングが早まるというメリットがある。

試用いただいている方々の反応は、思いがけず大好評をいただいているので、バックテストを重ねたうえで、MT Studio21社に提供してみたいと思うようになった。コロナの影響で同社も開店休業状態となっていたので、再開の契機になれば幸いである。

バックテストや注意点等は、引き続きこのブログにて公表していきたい。