昨日(2022.03.22)のブログにてCenturion Smart Gridに関するご質問をいただきました。マーチンゲール最大Step(16倍)のポジションが発生した状態で損切りをしないオプションを採用した場合の注文状況に関するご照会でした。説明が長くなりますので、ブログ本文にてご説明します。
マーチンゲール取引は逆張りのエントリーとなりますから、相場が下げる局面では最初の取引は成り行きの買い取引となります。その際のポジションと待機注文は下記の通りになっています。簡略化のため最初の取引(1st step)価格を1.3100、ロットを0.01とします。
買い注文
① Buy 1.3100、Lots 0.01
② Buy Limit 1.3000、Lots 0.02
③ Buy Limit 1.2900、Lots 0.04
④ Buy Limit 1.2800、Lots 0.08
⑤ Buy Limit 1.2700、Lots 0.16
売り注文
⑥ Sell Stop 1.3050、Lots 0.01 S/L & T/P
⑦ Sell Stop 1.2950、Lots 0.03 S/L & T/P
⑧ Sell Stop 1.2850、Lots 0.07 S/L & T/P
⑨ Sell Stop 1.2750、Lots 0.15 S/L & T/P
⑩ Sell Stop 1.2650、Lots 0.31 S/L Only
さて、相場が一直線に下落して、価格が一挙に1.2650まで達したとすると、その際のポジションは、買い0.31ロット、売りも同じく0.31ロットとなっており、ポジションはスクエアとなり、相場が1.2650を超えて下落を続けても含み損が増大することはありません。なぜなら、⑥~⑨のポジションはすでに利確を済ませており、残る⑩はT/Pを設定していないので利確することはなく、そのポジションは残っているからです。
GBPUSDはメジャー通貨ペアですから、通常の場合は必要な証拠金(含み損を含めた額)を準備しておけば、強制決済を受けることはありません。実際、時間はかかりましたが、その後元の価格帯に戻っていますので、EAは再び正常の稼働を続けることができます。
ご指摘の2020年3月19日は、コロナ禍最初の大パニックが全世界のマーケットを襲った時期でした。FXに限らず多くのトレーダーが市場から退場させられたのはこの時で、YouTubeを含むネットには今でもそのころの悲惨なリポートが多く残されています。
ひとつ注意していただきたいのは、⑥~⑩の注文が逆指値(Stop Order)であることです。マーケットがパニックに陥ると、相場が建たない場合があります。1.2650の買い注文がマーケットになく(売り一色の状態)、レートが大きくその域を飛び越えてしまった場合には、逆指値が通用しなくなるからです。過年のスイス中央銀行による突然の介入中止とそれによるスイスフランの暴騰の際も同様の現象がありました。コロナ禍は非常時とはいえ、パニックが最高潮を迎えるまでには数日あったわけですから、そのような場面では相場に手を出さない、または、早々に退出するのがゴールデンルールというべきでしょう。ストップ注文が通用しないマーケットはもはやマーケットとして機能しないからです。
次回更新時には、恐怖指数が高い時や週末には新しい取引に入らないという選択肢も考えたいと思います。