問わず語りの...

流れに任せて

犬神家の一族(後編)

2023-05-01 08:54:27 | 芸能、音楽

※ネタバレ含む

 

 

 

推理モノで一番退屈するシーンは、実は「謎解き」シーンである、なんてことを言う方もおられるようです。

 

 

まあ確かに、探偵が話しているだけで動きがない。聴いているだけなので画が止まってしまう。だから案外退屈してしまう。ということなのかな?

 

 

まあ、感想は人それぞれですが、少なくとも本作に関しては退屈はないでしょう。

 

 

松子夫人(大竹しのぶ)と佐清(金子大地)との対面という、ある意味最大のクライマックスを、謎解きの真ん中に置くことで、退屈な謎解きを最大級に盛り上がる場面に変えた。

 

 

この場面の大竹しのぶさんの演技が本当に本当に、本当~~~に、

 

素晴らしい!!

 

 

金子大地(『鎌倉殿の13人』の源頼家役)の演技もまた、良かったし、あれは泣くよ!泣く。

 

 

さらには、謎解きの最中に青沼静馬の例の遺体が発見されるという、今までになかった展開を入れ込むことで、金田一耕助(吉岡秀隆)の無念がより強調されるという、ある意味とても無慈悲な展開に、思わず唸ってしまった。

 

金田一さん、悔しいだろうね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

吉岡秀隆演じる金田一耕助は、悲惨な事件に哀しみを感じながらも、謎解きをしている場面ではどこか喜々としているようにも見える、謎解きが楽しくて仕方がないというような、それでいてそんな自分の本音にある種の「申し訳なさ」を抱いているかのような、そんな「病的」なものを感じさせる演技で、飄々としているようで、どこかウソ寒さを感じさせる人になってる。

 

こういう金田一耕助像、吉岡秀隆ならではのもの。面白いですねえ。

 

 

この金田一さんの「病気」が、最後の最後で事件の核心を突いてくる。

 

 

上に挙げた感動の名場面を根底からひっくり返してしまう、事件の本当の核心。

 

 

でも、いまさらそこを突いたところで、もう遅い。事件は終わった。

 

 

金田一さんは思う、「僕はまた、何もできなかった…」

 

 

金田一耕助は、事件を未然に防いだことがない。事件がすべて終わった後に、事件の「解説」をするだけなんです。そういう意味では

 

「名探偵」ではない。

 

 

今回の金田一さんは、誰よりもそれを自覚しているし、この事件では、その自覚をさらに強める結果になってる。

 

 

残酷だよね、金田一さん、遣り切れないよね。

 

 

なんだか、金田一さんが可哀そうでしたよ。

 

 

こんな、人の業の恐ろしさばかりが強調された物語の中で、唯一といっていい救いは、野々宮珠世(古川琴音)の真っすぐな純愛。金田一さんもまた、ここに救いを感じてる。

 

 

珠世さんには幸せになってほしい、けど

 

 

けど…。

 

 

ある意味バッド・エンド。でも深い余韻の残るドラマではありました。

 

 

なんといっても大竹しのぶの演技!それと吉岡秀隆という存在!

 

 

これにつきる。

 

 

 

 

コメント (2)
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