問わず語りの...

流れに任せて

東北方言と大和言葉

2022-09-16 14:56:18 | 歴史、民俗

一口に東北と言っても、大変広うござんす。

 

 

 

今年の甲子園大会で、宮城県代表の仙台育英が初優勝し、「白河の関を越えた!」と話題になりましたが、爆笑問題の太田さんが「こういう時こそ、じぇじぇじぇだろ!」と言ってましたが、

 

 

 

「じぇじぇじぇ」は岩手県久慈地域の極一部で使われている方言で、東北全土で使われているわけではありません。

 

 

今でこそ、『あまちゃん』のお陰で全国区になったものの、この言葉を普段使いしているのは、久慈地域の極一部の人達だけです。

 

 

ましてや仙台育英は宮城県代表、岩手県ですらない。

 

 

 

使うわけね―だろ!って話。

 

 

 

まあ、太田さんはあくまでネタで言ったのでしょうけど、中には本気に受け取った人達もいたことでしょうね。

 

 

じぇじぇじぇについては、今まで散々説明されてきたはずなのですが、誰も聞いていないのかな?日本人の見識は未だ

 

 

こんなもん?

 

 

 

さて、ですから私の言う「東北方言」とは、私の住む岩手県南から宮城県北にかけての言葉、決して東北全土ではないということを、

 

 

 

理解していただきたい。

 

 

 

前置きが長くなりましたが、私が紹介したい東北方言に

 

 

 

【かばねやみ】

 

 

という方言があります。

 

 

これは標準語で言うところの

 

 

「面倒くさがり」

 

 

という意味です。

 

 

「かばね」とは大和言葉で「身体、肉体」を指しており、「やみ」は「病み」ですから、つまり

 

 

まるで肉体が病で動けない、かの如くに

 

面倒くさがって動かない、という意味なのです。

 

 

 

面白いでしょ?ていうか、粋というか

 

雅、ですよね。

 

 

 

東北方言は田舎方言という印象が特に強い。

 

まあ確かにそうなのだけれども

 

その田舎言葉のル―ツには、雅な大和言葉があるのですよ。

 

 

 

【おしょしい】

 

 

これは「恥ずかしい」という意味です。

 

 

 

昔、とあるテレビ番組で、岩手県出身の歌手・新沼謙治さんがこの言葉を紹介したとき、同番組に出演していたおすぎさんだったかピ―コさんだったかが、「恥ずかしいをお小水って言うの―!?」とゲラゲラ笑い出した。

 

 

新沼さんは良い人ですから、否定もせずただ、困ったような表情を浮かべているだけでした。

 

 

ハッキリ言います。これは小便何かじゃありません。

 

 

武家言葉で「笑止」という言葉がありますよね。

 

 

「笑止な!」といえば「バカバカしい」とか「ふざけるな!」という意味になります。

 

この「笑止」に丁寧に「お」をつけて「お笑止」になり、これがなまって「おしょしい」になった。

 

 

ね、これもまた

 

 

「雅」な感じするでしょ?

 

 

決して、小便なんかじゃね―んだよ!

 

 

 

その他、目のことを「まなぐ」と言いますが、これは大和言葉の「まなこ」ですね。

 

 

顎のことは「あくど」これもまた大和言葉の「あぎと」がル―ツ。

 

横溝正史原作『八つ墓村』に「竜の顎(りゅうのあぎと)」が出てきますが、これは竜の顎の中、つまり竜の口の中の牙のように、鍾乳石が並んでいる場所という意味で、「あぎと」とは「あご」なんです。

 

この「あぎと」がさらになまって「あくど」になったわけです。

 

 

だから「仮面ライダーアギト」って、「仮面ライダーあご」って意味なんですよね。まあ、それはどうでもいい。

 

 

 

このように東北方言には、雅な大和言葉が元になっているものが多い。当たり前のことながら東北もまた

 

 

「日本」

 

 

なんだよねえ。

 

 

 

 

 

 

 

 

コメント (4)
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