問わず語りの...

流れに任せて

映画『さかなのこ』

2022-09-05 01:20:49 | のん

ネタバレ必至。

 

 

 

 

映画の冒頭のテロップ。

 

「男か女かは、どっちだっていい」

 

 

これ、余計だよなあ。

 

 

こんなもん、わざわざ出さなくったって、映画を観ていれば自然に気にならなくなるというのに。

 

 

こんなもん出したら、かえって意識しちゃうじゃないかあ~。

 

 

 

まったく、余計だ。

 

 

 

 

 

子供時代のミ―坊を演じているのは明かに女の子。これはのんとの繋がりを考えてのことなんだろうけど、どうだろうね。

 

ここは男の子、それももっと、演技の上手い子を使ってもよかった気がする。

 

なんかねえ、演技があんまり上手くないのよ、もっと演技の上手い子を使ってもよかったんじゃないかって、思っちゃった。

 

 

でもね、のんに似ているんですよ、その子が。この点を一番重視したのかな。

 

 

う―む…。

 

 

でものんが登場してから以降、映画は一挙に進行し始める。のんがいるだけて空気が変わるというのか、まさしく男か女かなんて、どうでもよくなっていくんですよね。

 

 

この性を超越した透明感。これはのんでなければ出せない。のんをこの役にキャスティングした意味がよくわかる。

 

 

内容的にはホントに優しい空気が流れている映画です。

 

登場人物たちのほとんどはミ―坊を好きになって、ミ―坊を守ろうとする。

 

ちょっとおバカな不良たちとの愉快な友情、幼なじみとのちょっと切ない邂逅。みんなミ―坊のことが好きで、ミ―坊を守ろうとする。

 

 

優しい人ばかり。

 

 

 

でも世の中はそんな人たちばかりじゃない。いわゆる「普通」ではないミ―坊を快く思わず、嘲笑う人もいる。

 

 

例えば、元AKB48のぱるる演じる、「最近ちょっとテレビに出ているちょっと有名な人」は、ミ―坊を「いい年をして魚って」とミ―坊を嘲笑う。

 

 

また、ミ―坊の父親は、嗤うというより「普通」ではない息子を心配するあまり、ミ―坊の魚好きを否定しようとする。

 

両者とも「悪役」ではないんですよね。むしろこの、同調圧力の強い日本社会にあっては、こちらの反応の方が、むしろ「普通」だとさえ言えるかも知れない。

 

 

もしもミ―坊の周りがこんな人達ばかりだったら、ミ―坊はミ―坊のままではいられなかった、好きを貫くことが出来なかったかも知れない。

 

 

でもミ―坊には、ミ―坊の魚好きを全面肯定してくれる最大の守護者がいました。

 

 

井川遥演じる、ミ―坊の母親です。

 

 

この母親なしに、ミ―坊は成り立たなかった。

 

ミ―坊は良い環境に恵まれていました。

 

しかし、もし、そんな風な良い環境に恵まれていなかったら…。

 

 

 

この映画には、原作者であるさかなクンご本人が「ギョギョおじさん」という役で出演されています。

 

 

ギョギョおじさんとは、環境に恵まれず、さかなクンになれなかったさかなクンなんです。

 

 

この映画はコメディやファンタジーの要素が強い作品ではありますが、この社会の厳しさを、笑いのオブラートに包みながらもちゃんと描いてりる。

 

 

ギョギョおじさんが警察に連れていかれるシ―ンは、とても切ない。

 

 

 

この日本社会には、ギョギョおじさんみたいに、才能を開花させることなく片隅に埋もれていった人達が、沢山いるのだろう。

 

 

ミ―坊が初めてテレビ出演したときのセリフ、

 

 

「好きに勝るもの、無しでギョざいます」

 

 

このセリフの後、カメラがミ―坊、というより、のんちゃんの透明感のある瞳にズ―ムしていく。

 

 

のんちゃんの瞳はホントに透き通っていて、思わず吸い込まれそうになる。好きを貫き続けた人の瞳は、こんなにも綺麗なんだよ、ということを、のんちゃんの瞳を通して証明しているわけです。

 

 

もうね、この場面を観れただけで満足ですわ(笑)。のんちゃんの瞳に吸い込まれそうになる感覚、これを味わえるというだけで、この映画を観る価値は存分にあります。

 

 

 

色々気になった点も、のんちゃんの瞳で全部帳消し(笑)。

 

 

あのキラキラ感、あの透明感。

 

 

好きを貫くと、こんな素敵な人になる、

 

 

かもね、てことで

 

 

 

のんをキャスティングして、大正解でした。

 

 

少なくとものんファンは大満足、という映画でした。

 

 

以上。

 

 

コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする