あまねのにっきずぶろぐ

1981年生42歳引き篭り独身女物書き
愛と悪 第九十九章からWes(Westley Allan Dodd)の物語へ

来る死巳の子

2018-04-29 15:53:45 | 物語(小説)
"レプティリアンのヴィーガン友達募集中"と或サイトで呼び掛けた。
7人の男女から、連絡が来たが、そのどれもが、「レプティリアンって何ですか?」「ヴィーガンってどんなもの食べてるんですか?」という内容のものばかりで、一人もヴィーガンのレプティリアン、レプティリアンのヴィーガンの人間から来ず、諦め掛けていたその夜。
1通の、メッセージが、受信箱に届いていた。
内容はこうであった。
「初めまして。今晩は。
わたしはあなたの募集する人の項目に当てはまっているかも知れません。
ただレプティリアンの家系に生まれてきたとか、誰かに証明されたわけではありませんので、レプティリアンであるという自信に満ちた存在でもありません。
御伺いしたいのですが、貴女はレプティリアンとしての存在意義を、この地上に見出だして生活しているレプティリアンでしょうか。
それとも、地下に、出来れば帰りたいなと日々、哀しんでおられるレプティリアンでしょうか。
わたしの場合、断然、後者であります。
地下世界の記憶は、残念ながら、わたしには御座いません。
ですがこのわたしに流るる血が、その世界の懐かしさを記憶しているのだろうと感じ得てなりません。
わたしはもしかすると、レプティリアンと人間の、ハイブリッドかもしれません。
だからか地上世界に未練もあり、此処を離れることの寂しさも心から離れてくれないのです。
どちらを離れて生きることも寂しく、かといってその真ん中に暮らすことも叶わないのです。
取り敢えず、貴女と一度御逢いして話してみたい気持ちでいます。
素直に申し上げますが、わたしは人を、食べません。
また、人の血も、飲むことができません。
どうやって生きているかというと、人のNegative Energyを吸収し、それだけで実は生きながらえて来た者です。
わたしのようなレプティリアンは、珍しいと聴きますが、実際はレプティリアンの間で既に蔓延しております。
それがこの地上でレプティリアンが生きながらえる為の一つの進化であるとされています。
でも依然として、人間の肉を喰らい、人間の血を飲まなくては生きて行けないレプティリアンもまだ多く存在しているのが現状です。
このレプティリアンも、新鮮な人肉と新鮮な生き血のみ摂取する者と、腐敗している死体と死後の血を摂取する必要がある者とに別れています。
なのでわたしはヴィーガンより、フレキシタリアン(不食者)に近いです。
貴女から遠距離でもずくずくに感じられるガンガンでドクドクでガスガスなNegative Energyは、大変わたしのタイプなNegative Energyだと感知致しました。
是非とも一度、貴女と御逢いして、近距離で感じられたらと願います。
良かったら、rep.kisiterienのGmailアドレスに送ってください。
貴女からの御返事を、心待ちにしております。



Mishik Terie










俺はこのミシク・テリエなるフレキシタリアンなレプティリアンの男に早速mailを送り、一週間後の廃墟採卵工場施設のなかで、午後六時に、待ち合わせの約束をした。
20✖0年の春の終りに、地上の人類は環境破壊によると考えられる気候変動により壊滅的な食料飢餓と水不足から次々と餓死し、人口数は約三分の一までに減った。
俺が運よく生きられたのは、飢餓の苦痛に負けて人を殺して食べなかったからである。
人を殺して食べた人間たちはことごとく、全身からきな粉が吹いて、次第に全身がもちもちしたわらび餅状と化すという奇怪な感染病にかかり、自分がわらび餅になるという因果な事態に発狂し、笑いが止まらなくなり、全員、笑い死にするという想像を絶する地獄絵図の結末であった。
この時代を生き延びられた人間たちは皆、人間を殺すことより自ら死を望んだ人間たちであると、俺はつい最近まで、信じていたのである。
が、つい先週のことである。
或、噂を、俺は耳にした。
それはこういう噂である。
実は生き延びた三分の一の人類の、約半数以上が、人間ではなかった。という信じがたい話だ。
だったら、なんだったんだ。と俺は狼男のヴィシンに訪ねた。
狼男のヴィシンは、一鳴き、遠くの山に向かって遠吠えしたあと、こう言った。
あんな、実はな。なんでも、この地上には、地下世界から遣ってきた、竜蛇属っちう竜蛇型人間が、人間とそつくりな容姿をして、人間に紛れ込んで生きておると言うやんか。いやわしかて、そらびびったよね、正味、人間じゃないのに、人間の姿をしとるとか、まず考えられんよ。せやさかい、あまりの驚きに、その夜、一山越えてもうたわ。あれほんま、ええ経験さしてもろたわ。イケるんやなあ。て想たよね。まあ、そうゆうことやな。あれ、わしなんの話しとったんやったっけ。あーそうそう汁粉を毎朝作って味がちょお薄いなゆうた隙にkissして襲ってくれるような女はどこにおんねんちゅう話やったな。え?ちゃうかった?まあええわ、ちょおこれから、モンド作るから、電話切るで、今日は日暮モンドや。ガチャっ。
と、最後は、「ガチャっ。」と声で言って、狼男のヴィシンの電話は切れたのである。
俺は、あまりの衝撃に、電話機の上にポタポタと汗と涎が気付けば、垂れておった。
何故なら俺の夢、異種交配という俺の乙女心をときめかし続けて止まなかった人類以外の生命体と結婚をし、ハイブリッド赤ちゃんを産んで、大きくなったら里子に出す。そしてその子供が、二十歳を過ぎた頃、突然俺を尋ねてくる。
俺の子は、俺がドアを勢いよく閉めたその隙間に手の指を2本挟み、指を落とし、手の指が片方だけ3本は見苦しか。と呟いて、その場でもう片方の指も2本、切り落としてしまった。
そして、両手6本の指となった手を俺の背中に伸ばし、俺を見下ろし、こう言った。
「貴女は本当に可哀想な人です。何故なら、わたしに貴女は出逢ってしまったからです。貴女はわたしに確かに出逢ってしまった。貴女はわたしに出逢ってしまったことを、死ぬほど後悔し続けることになるでしょう。何故なら、って何故ならってわたしは何回言うのですか。何故なら貴女は、もう生きては行けない場所で、この先ずっと、生きて行かなければならない。何故ならわたしは貴女の、生きる光、貴女の闇だけを、餌にする巳死苦手利得。貴女の深淵の闇に眠り続ける貴女を、このわたしの苦しみの6本の指の手が、わたしに貴女を得させるでありましょう。それはどのような利益であるか、そうゆっくりと、貴女にお話ししてあげます。もうずっと、生きる死が、貴女の光のなかで、来る死巳続けてきたのです。貴女と死の間で。」



















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