日蓮聖人のご霊跡めぐり

日蓮聖人とそのお弟子さんが歩まれたご霊跡を、自分の足で少しずつ辿ってゆこうと思います。

星梅山妙伝寺(厚木市上依知)

2017-01-30 18:50:24 | 旅行
田んぼに囲まれた杜に、素晴らしいご霊跡がありました!

昔は相模川の流域だったのではないでしょうか、奥に河岸段丘が見えます。
豊かな杜をたたえた一画が、星下りの霊跡、妙伝寺です。


本間六郎左衛門尉重連邸だったそうです。
平左衛門尉頼綱から、正式に3年間の佐渡配流を伝える書状がここに届いたそうで、今でもお寺に保管されているそうです。


山門までの道がキレイに整備されています。


いきなりスゴいのを発見!
この山門は「二天門」と呼ばれ、厚木市の重要文化財に指定されているそうです。



両サイドに毘沙門天と持国天が睨みを利かせています!


山号は「星梅山」です。
星下りの奇瑞が、山号に表れています。


なにこれ?
またすごいのを発見しちゃった


釈迦堂なんですね!
てことは中にお釈迦様の像が?


ご首題をお願いしたらご住職が開けて拝ませて下さいました!(画像はありません)

でかい!!巨大な金色の釈迦如来像です。
5m弱もあるそうで、県内の木造仏では最大らしいですよ!

文化財の指定を受けているので、お寺の勝手で修復はできないんですよ、とご住職はお話をされていました。
いえいえ、こういう渋い風合いのご尊像も味がありますよ!


ここが本堂なのかな?


星降殿と書かれています。


何かこのお寺、彫刻がすごいぞ~!


このお堂は三光堂です。
日、月、星の三光天子がお祀りされていると思われます。


お堂の屋根には・・・これ多分三光天子ですよね!


境内に石の柵で囲まれた梅の木がありました。
霊木として祀られてるのかな。



それ以外にも境内には梅の木がたくさん!
時は1月末だったので、開花してるのもちらほら・・・!



弁天様がありました。


やはり龍の彫刻が施されていました。
龍は弁天様LOVEですもんね~!


しかし日蓮聖人開山、日源上人開基、檀越の本間重連邸だった由緒正しいお寺が、自宅からほど近い場所にあるなんて・・・


来てみるもんですね~!

宝塔山蓮生寺(厚木市中依知)

2017-01-26 15:39:19 | 旅行
1月も下旬になり、各地で梅の開花が始まりました。
毎日寒いですが、一歩ずつ春に近づいている実感があります。
今日はその梅にまつわるご霊跡を訪ねました!

国道129号線から一本外れると、静かな住宅街。


ありました!結構歴史のありそうな石柱!
これって題目塔っていうのかな?
目印になっていいですよね!
「星下根本霊場」ってあります。
根本から叩き直すコワモテのお寺なんでしょうか?


少し歩くと視界が開けました!
めちゃ見晴らしがいい!!
手前に圏央道、その奥に相模川、対岸は座間、さらに遥か東は安房の国です。

いいところに題目塔が立っています!
日蓮聖人はここからご両親を想ったことでしょう。


境内に入ります。


本堂です。
重厚感のある造りです。石灯篭やまわりの植栽とのバランスもいい!!
設計した方のセンスの良さを感じます。


お寺の縁起には江成金作建築、と刻まれていました。
現在、ウチの菩提寺も再建中なんですが、実は江成金作さんのところが建築を担当して下さっています。
何かご縁を感じます。


山号は宝塔山です。


歴代お上人の御廟を参拝。


初祖は日蓮聖人の直弟子である日源上人です。
日源上人は岩本實相寺を改宗させた方として有名です。


境内の一角に、河川敷へ降りて行ける階段があります。
行ってみましょう。


三光山梅香寺跡を示す石塔があり、その脇にあるのが井戸と思われます。
もともとこの場所に佐渡の守護代・本間重連公の屋敷がありました。のちに梅香寺という日蓮宗のお寺になったのですが、度重なる火災、相模川の氾濫などで廃寺になり、蓮生寺と合併したようです。


境内には梅の木が何本もありますが、この木が一番大きいです。
傍らに宝塔もあります。もしかしたら、かつて梅香寺にあった梅の木なのかな?

龍ノ口の刑が中止になり、結局はじめに言われていたように佐渡流罪に決まりました。とりあえず佐渡の守護代の本間重連邸が厚木にあるから、そこにしばらくお預け、ということになりました。


ここに着いた日の晩(つまり龍ノ口の翌晩)、日蓮聖人は月と法論を交わしていた(ちょっとこのへんが常人には理解できませんが)ところ、めちゃ明るい大きな星が降りてきて、梅の木にかかったそうです。
この超常現象を「星下り」といい、日蓮聖人を捕らえていた側の人も帰依を誓ったようですよ。


「星下り」が起こったというご霊跡は、ここ蓮生寺の他に2か寺あります。
雨乞いのご霊跡が複数あるように、それぞれで奇跡が起こったのかもしれませんし、800年近くも昔のことなので記録がなく確認できないのかもしれません。

いずれも有り難いご霊跡として、訪問させて頂きたいです。


蓮生寺の日蓮聖人像はなかなかのイケメン!


このとき日蓮聖人49歳。
・・・僕も今年49歳!!!


かなわね~(笑)

寂光山龍口寺(藤沢市片瀬)

2017-01-22 15:20:30 | 旅行
今日は四大法難の舞台、龍口寺を訪ねました。

江ノ電はゆる~い空気を醸し出しながら、龍口寺前の交差点を過ぎてゆきました。


腰越から片瀬に向かう道には、海の幸を食べさせてくれる飲食店が多数並んでいます。
松葉が谷で捕らえられた日蓮聖人が龍ノ口の刑場に連れてゆかれたのは、まさにこの道のようですね。


龍口寺の入口です。


この柱看板は目立ちますね~
「霊跡本山」なんですね。


巨大なお題目の石柱が立っています。


この石柱の土台部分に、ちょっと興味深いものを発見しました。
「相州中郡講中」
中郡は僕の住む町がある地域です。
よく見るとその詳細地域も書かれています。

「講中」とは「こうじゅう」と読むそうです。
「講」とは、同じ信仰を持つ人々による結社のことらしく、
「講中」とはその構成員のことのようです。

今でこそ各地の宗務所なんかがその役割を果たしているのでしょうが、昔は地域、職場などいろんな単位で「講」があったようですね~。
お寺にある石碑に、結構「~講中」って刻字があるんです。

中郡からも大勢の信徒が参拝に訪れ、石柱を奉納したのだと思われます。


龍口寺は当時の刑場跡に建てられました。
この石碑付近に刑場があったようです。
「敷皮」という、首の座に敷く敷物を置いていた石、その石が「敷皮石」として本堂に安置されているそうです。


慰霊のためでしょう、お題目の塔が立っています。


仁王門です。


瓦の一枚一枚に「龍」の字が刻まれています。


仁王門の天井にも龍の絵が!!!


左側に山号が書かれていました。
「寂光山」です。


山門です。
とにかく彫刻が、それはそれは見事な門です。




中国の故事を彫刻にしたもののようです。
超絶の技術ですね~!


日蓮聖人像です。
柔らかな印象です。


でも目は厳しいです。


大本堂です。
1832年建立、欅造りだそうです。
堂々たる威容のお堂です!!
(大本堂内は撮影禁止なので画像がありません)

龍口寺の始まりとなった「敷皮石」は大本堂内、祖師像左側に篤く祀られていました。
御祈祷をお願いしたため柵の内側に入れたので、間近で拝めました。

色は黄土色、よ~く見ると光沢のある粒子も混ざった、何だろう、粘土質なのかな、直径60cmくらい、形は赤血球?みたいな石でした。

間近でご霊跡の神髄を拝むことができて、本当に嬉しいです。


龍口寺は山を背負っています。その切り立った傾斜面に、この大本堂を囲むように史跡、建物があります。


御霊窟です。
松葉ケ谷の草庵で日蓮聖人は平左衛門頼綱に捕らえられました。表向き佐渡流罪の名目でしたが、実は龍ノ口の刑場で首を斬られる予定でした。
刑場に着き、日蓮聖人はこの御霊窟で執行の時を待ちました。

そして闇夜の晩、例の敷皮石に首を据えられ、まさに今、太刀が振り下ろされるという時に、江の島の方面から、光の玉のようなものが飛んできて、空が光り渡ったそうです。

この超常現象(?)に人々は驚き、処刑は急遽、中止になりました。


この光景を目の当たりにした日蓮聖人は後に「龍ノ口に日蓮が命をとどめおくことは、法華経の御故なれば寂光土ともいうべきか」と記し、これが「寂光山」の山号の由縁となったようです。
僕も毎朝、お経をあげていますが、いわゆる運想の中に「常寂光土現前し・・・」という一文がありまして、馴染みのある山号です。


七面堂です。


七面山の七面天女を祀ります。


その脇を龍神様なのかな?龍が守っています。
江の島には、弁天様に恋をした五頭龍が鎮座しており(だから江の島には龍が多いんですね!)、その口の部分に当たるのが、ここ龍ノ口なんです。


鵠沼方面から見えるインド風の建物、それがこの仏舎利塔です。
内部には、インドのネルー首相から拝受したご仏舎利(釈尊の御真骨)があるそうです。
それってすごくない?


五重塔です。
この塔の事をサンスクリット語で「ストゥーパ」というそうで、それが卒塔婆の語源になっているそうです。
言われてみれば卒塔婆のアウトラインって五重塔に似てますよね!



塔には細かい彫刻が随所にありまして、これらは日蓮聖人の生涯を表すもののようです。


大本堂の奥に見える五重塔の遠景がキレイです。


この建物、カッコよくないですか?
立派な屋根が三段!
大書院っていうそうです。
元々信州にあった蚕糸御殿が移築されたそうです。


一段目は「龍」の文字


二段目は井桁に橘の宗紋


そして三段目は鬼瓦!!!


そうそう、境内にこんな石碑もありました。
萬人歯骨塚です。
日蓮聖人はそのご生涯で何本かの歯を失われたそうです。今まで自分の命を支えてくれた分身として、日蓮聖人は毎月それらの歯を仏前に供え、礼拝されたそうです。
生かして頂いている事を日々感謝するという、仏教の神髄を教えられたような気がしました。


参拝を終えて、門前にある上州屋さん(和菓子屋さん)に寄りました。


龍ノ口といえばぼた餅、といわれますので、難よけのぼた餅を買って帰りました。

今年は平穏な一年でありますように。

龍王山霊光寺(鎌倉市七里ガ浜)

2017-01-18 16:54:51 | 旅行
僕はもう30年近く、波乗りをしています。

地元・西湘で波がないと、東へと遠征します。
辻堂、鵠沼とともに、よく遠征するのが七里ガ浜です。
134号線沿いには西湘にはお目にかかれない人気のお店、オシャレなお店が立ち並んでいます。

・・・まさかこのシャレオツな七里ガ浜に、長く大切に守られてきたご霊跡があるとは知りませんでした。


七里ガ浜にそそぐ川沿いの道に、お題目の石柱があります。
「行合川」
そう、この川もある意味、龍ノ口の法難にまつわるご霊跡らしいんですね。
詳しくはまた別の機会に調べたいと思います。


「本所」?
東京都墨田区のかな?
ま、よくわかんないけど、いいか(笑)

上流に進みましょう。


・・・また石柱があったぞ。
おお、「日蓮聖人雨乞霊跡道」。
隣にちっちゃいお社も。
ご霊跡は近そうだぞ!


ここで行合川を渡ります。

「雨乞橋」っていうそうです。
演歌の題名にありそうな・・・


奥地に入ってきました。
とてもあのハイセンスな七里ガ浜とは思えない、のどか~な風景です。


あれ?池だ!!
これが日蓮聖人と良観房忍性が雨乞い対決をしたという「田辺が池」でしょうか。


そういえば奥に何か屋根が見えます。


間違ってなかった!ここが田辺が池です。


昔はこの辺を「金洗沢」って言ったそうです。

しかし鎌倉界隈には随所にこの「鎌倉友青会」が建てた石碑がありますね~。
わかりやすく説明を入れてくれてます。


お、門が見えてきたぞ。
ここが雨乞いのご霊跡、「霊光寺」です。


山号は「龍王山」です。
龍・・・なんか龍にまつわる逸話でも・・・!?


境内からさきほどの田辺が池のほとりに出られます。


冬場の朝だったので、池は凍っていました。
池のまわりは一周できるように整備されています。


「蛇枕龍神」の宝塔のようです。


ここにも龍が!!


八大龍王を祀るお社がありました。
八大龍王は水の神様のようです。

文永8(1271)年の大干ばつの時に、幕府は極楽寺の良観房忍性に雨乞いの祈祷を命じました。
僕が先日訪れた霊山の逸話と似ていますが・・・この年の干ばつはひどかったんでしょうね。あちこちで祈祷があったんでしょう。
やはりここでも、忍性が祈祷しても一滴も降らなかった雨が、日蓮聖人が祈祷するや降りだし、人々は驚いたそうです。

日蓮聖人が祈祷されている時に八大龍王が現れ、その力もあって雨が降ってきたといいます。
龍口寺といい、江の島といい、この近くは龍がらみの場所が多いですね!


丘を登る参道があります。


坂の途中に古い石碑がたくさん
毛塚塔
ふさふさになるんでしょうか?


風の神 ・・・風神様?


妙法大六天魔王
これは聞いたことがある。大六天魔王は信者を仏教から遠ざける魔王なんだけど、日蓮宗では、強い信仰を持つ修験者については逆に守ってくれる存在とされているみたいですよ。


そして・・・ついに!!!
これが雨乞いのお題目を唱えている日蓮聖人のお姿、そしてここが実際に祈祷された場所のようです。


僕もいろんなお寺のいろんな表情の日蓮聖人像を見てきましたが、この像はホント、精悍なお顔をしていらっしゃいます。
多分、体力的にもいちばん脂の乗った時だったんじゃないでしょうか。


「日蓮聖人祈雨銅像再建之記銘」・・・再建?


なになに?
先代の銅像は太平洋戦争時に供出されてしまったそうです。でも不思議なことに戦後、お首から上の部分だけはお還りになったそうです。そして昭和40年、念願の再建を果たしたようですね。

ここからは僕の推測ですが、供出された銅像を分解する過程で、作業員に法華経の篤い信者がいたんじゃないでしょうか。お首から上がお還りになったのは単なる偶然ではなく、命がけでお首だけでも、守ってくれた名もない作業員がいたのだと、勝手に想像しちゃいました!

いや~、見どころ満載、もうおなかいっぱいですが、本堂を見ていませんでした~


山の尾根みたいな参道を進むと・・・


本堂です。


漆喰で龍の塑像がありました。見事です!


まわりはこんな深い谷。
七里ガ浜にあって、人工物が一切見当たりません。
日蓮聖人が御祈祷されたときと似たような風景だったら嬉しいです。

思わぬ場所にある素晴らしいご霊跡!
訪問できて良かったです!!!


おまけ
亀さんをお祀りする碑がありましたよ!
亀は何かの神様なのかな?
それにしても上の石柱がマジ重そう(泣)