カッキーYAMA   akihiko tange

手始めに、日常的なことを気の向いたときに載せていくつもり。

「軽」に乗ってみて・・・

2012-03-05 | エッセイ

 車の販売台数が前年同月比で見て伸びているという結果が出たそうだ。単純に良いことだと思う。車であれ何であれ自分の国の製品が評価され売れることはニュースとして聞くだけでも嬉しい。反対に東京へのオリンピック招致に固執する石原都知事の姿にはなぜか軽い失望を覚える。いくら若者たちに希望を与えるためという言葉を聞いてもだ。耳触りが良過ぎないか。車の販売台数が伸びたということだが、では昨年のタイの洪水のときの自動車関係の工場の「報道騒ぎ」はいったい何だったのか、ということも思う。テレビは連日のごとく増水した川と浸水した町の風景を流し、現地の工場の取材をして大変だ大変だと騒いでいた。騒ぐのが好きなのだろう。原因に言及することもほとんどなく、例年のこと、よくあることなのかどうなのかすらはっきり伝わらず、次の大潮のときが大変だ、どうなるか、と人々の心配を逆手にとってスリル感を盛り上げているかとすら受け取れるようないつもの物言いがあったのである。工場の関係者は実際に大変だったのかもしれないが、その後対処して何とかしたのだと思う。
 販売台数が伸びたと伝えられる車の中で、軽自動車の伸びもまずまずのようだ。自分の場合、昨年、車を「軽」に替えた。「軽」は2度目である。かつて荷物も運べるように「軽」のバンを安く手に入れ乗っていたことがある。今回のは乗用専用の車でターボも付いている。ターボの付いた車など初めてである。店の人に聞いて、ほおっ!、と思った。乗ってみて、毎日の様に乗るわけでもないし、長距離を頻繁に乗るわけでもない私のような使い方の場合、とても満足なのだ。この満足感の中には税金などの割安感もかなりの比率で入っている。車自体は、性能が格段に上がっているのだなと感じている。以前乗っていたバンや今から思えば昔のスバル360のように性能面で心もとない、といった状況ではなくなっていたことに遅まきながら気づかされるのだった。「軽」の販売台数が伸びているのは、この国のある意味、裕福になった人々が物の溢れた状態に慣れ車も2台目を持つようになり、「軽」がセカンドカーとして利用される、という位置づけになったこともその理由として大きいのだろう。戸建の住宅の駐車場を考える時も2台分のスペースを狭い敷地の中で何とか確保しようとする時代である。それと並行して、若者の車からの関心が薄れ、以前のようにそれをステータスのアイテムとして捉えることはなくなっている。私にはできない、というより嫌なのだが、車のシェアをする人々もいる。要求される車像がかなり変わってきているのだと感じる。
 以前久米宏がニュースステイションで半ば冗談のように国民の多くがもし全員「軽」に乗り替えれば、かなり道路の渋滞は軽減されます、と言っていた。そのくせ彼はとてもりっぱな大型の高級車に乗っていたから笑ってしまったが、しかしそれはそれとして彼はこの国の道路事情そのものに本当は一言、言いたかったのかもしれない。私はそれを聞いていて、しかし冗談かもしれないがとても良い発想かもしれないと思ったのであった。そのときは具体的にこのくらいの渋滞緩和になるということが数値なども含めて大まかに示されていたと思う。ETCの普及などと絡めて首都高の渋滞が問題として取り上げられていた時である。テレビを見つつ、かつて訪れたアジアの国々の道路事情が風景とともに頭に浮かび、「軽」などのコンパクトな車はアジア地域ならもっと売れるのではと思った。狭い国土の日本を含めアジアの国々などでは、コンパクト化の傾向のあるヨーロッパの車に対する考え方、センスの方が、アメリカなどでの考えより優れているのだろうし、その意味で日本の「軽」は見落とすことのできないアイテムだと思うのである。今もその考えは変わらない。そしてそれは日本人の生産者の得意とするところでもある。ここを手放すという手はない。方向転換するという手はない。私自身は今後、大きな車に替えることもあるかもしれないが、日本の「軽」はその意味でとても特徴的で優位性のあるものと思う。それなのに、この国の政治家、官僚のあたりは何を考えているのか、「軽」に対する税金を上げるだの何だのという話を持ち出す者もいるらしい。コンパクトに作るという能力が弱体化してしまうではないか。急に話が極端になってしまうが、そういうことを言う政治家は落選させるべきだ。どこの県から出てくるのか・・・。またそういったことを組織内で推し進めようとする官僚は辞めさせるべきだ。
 「軽」は、気軽に安く乗れて使いやすくそして楽しめる、という様にさらに文化としても高めるべきだ。もっと海外で売れるはず。小さいものへ機能、性能を凝縮させることがこの国のメーカーの得意とするところなのは、車以外の例えばウォークマン、ケータイ、その他家電製品などなどを見ても一目瞭然なのだから・・・。洒落になってしまうかもしれないが、車は「家電化する」という言葉も聞かれるし・・・。
 一言で言うと、「軽」の税金は高くするな、ということになるのだが・・・。


コメント
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