参道に玉をせる男たちが入ってくると、あちらこちらからバケツに入った水が飛んでくる。
水をかけるのはお手の物の、刺子生地の半纏を着た地元消防団の面々。
バケツから離された水がまるで生き物のように、放物線を描き玉をせる男たちの体に飛ぶ。
寒い日には玉をせる男たちの体から湯気が立ち上るが、今年はダウンを着ていると汗がにじむ陽気だった。
いつもより前のほうに張られら規制ロープに沿い、前にでてしまった高い脚立に立つカメラマンの背中が邪魔で最初のほうは見えず。
1/3程参道に入ってきたところで、シャッターを押すことができた。
玉せせりに参加している見知った顔を、参道に入ったあたりから目の端で追いかけながら撮るのだが
今年は、そこまでの余裕もなく玉をせる男たちの、背中ばかりがファインダー越し迫る。
放物線を描く水も撮れずじまい。
そう思っている間にも、玉は山門に向かってずんずん進んでいく。