田舎で法事があったので、小さい頃よく遊んだ鎮守様を尋ねた。
御本尊はお薬師如来が祭ってある。
あまり広くない広場があり、そのちょうど真ん中あたりに
大きなクロガネモチが立っている。
ここでよく三角ベースの野球のをした。
小さな子供が「アブラムシ」としての特権を行使できた良き時代であった。
今は見上げるくらいの高さに描かれ文字や記号は、
まだ小学低学年の頃、上級生をまねてあまり切れない肥後守で
固い木の皮に抵抗されながら、数日かけてやっと文字らしきものを彫ったことがあった。
大人にみられ「そげなことをしよたらバチが当たる」と怒鳴れ
こそこそと隠れてやった記憶がよみがえる。
それから月日がたち、今は見上げる位置にあるだろう刻んだあとも
何を描いたかを思い出すことはなかった。