生活之音楽ピース社

~そしてピアノとすこし猫~

チッコリーニのリサイタル@すみだトリフォニーホール

2012年12月01日 | 音楽
すみだトリフォニーホールでのチッコリーニのリサイタル、素晴らしゅうございました。御年87歳。パワーではなく引き算で階層を浮き彫りにするような演奏。「年を重ねてもきちんとお洒落を楽しむ紳士」のような音楽。
ドビュッシーの前奏曲集、一貫して、どこにも人を驚かせるような怖い感じの音色はない。ホッコリしつつ、でも聴いていると内側からじわじわとエナジーをもらう。脱力とうねり。とりわけ「沈める寺」が描く大きな波形には惹き付けられた。
私的には“メイン”だったセヴラックの「休暇の日々から」第1集は、詩的に洗練されていた。「セヴラック、都会に行くの巻」みたいな印象。
アンコールで弾いたスカルラッティのソナタK.380では、照明を絞りきってチッコリーニの顔・手だけが浮かぶ。ピアノの姿が暗闇に隠れ、もはやチッコリーニが音楽そのもの見えた。
会場のスタンディングオベーションは、聴衆の心からのもの。それが伝わる。いい演奏会だったなぁ。

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