おはようございます。旅人宿 会津野 宿主の長谷川洋一です。
今朝の福島民報1面トップは、外国人を奥会津などに誘客する福島県の事業についてでした。また日経社説では、箱根・富士山・京都などに偏っている外国人観光ルートを地方へと拡大しようというものでした。
どちらも、地方での「体験事業」を育成し提供することが、その背景とされています。
さて、「エクソフォニー」(多和田葉子著)を読みました。
とある大学の入学試験の問題でこの本を読んで答える問題がありました。そこで、興味を持ち読んでみました。
副題に「母語の外へ出る旅」とあります。著者が外国で経験したその国の言葉と、母語である日本語の関係を綴ったエッセーとなっていて、試験問題では「ロサンジェルス」のものが出題されていました。その他にも、「ダカール」、「ベルリン」、「パリ」などと続き、なんと「奥会津」というエッセーもあります。
「奥会津」って日本語でしょ?!と、思いながら読んでみると、そこではアイルランドとイングランドのことが引き合いに出されていました。ここでは、アイルランドがイギリスに対して持っている、距離を創造のエネルギー源として活用する「アイルランドモデル」というものを紹介しています。これを奥会津にあてはめ、東京との距離が母語とは異なる文化を創造をしていると想像させるような文章となっています。
著者にとって、外国の都市で使われる言葉も、奥会津の言葉も、違う言葉としてとらえています。そのうえで、「タンゴ」と「単語」や、「サンバ」と「産婆」といった音が同じでも、全く意味が違う言葉のつながりなどを探し、そこから新たな創造を試みています。
私の住んでいるところは、「奥」のつかない「会津」。千葉県出身の私にとっては、母語と違う言葉が日常的に飛び交っているところです。日常でよく使う「つける」(会津では「登載する」、一般的には「ひたす」)や、「なげる」(会津では「捨てる」、一般には「投げる」)など、これを掛詞(かけことば)として文章を創造してみるのも面白いなと思わされました。
奥会津は、外国人からみた母語でない日本語を、さらにもう一段階別の角度から体験出来る地域です。当然ながら、文化も日本文化に加え、奥会津文化が存在します。
「ひとつぶで二度おいしい」のような方法を使って外国人誘客ができる稀な地域かもしれません。
それにしても、文学者が奥会津の言葉を外国語に例えるとは、ちょっとビックリしましたが・・・
今日も素晴らしい一日を過ごしましょう。
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