おはようございます。旅人宿 会津野 宿主の長谷川洋一です。
今朝の日経に、「エアビー300万人」という記事がありました。近頃、カタカナ表記で「エアビー」という文字をみるようになりましたが、これは民泊仲介サイトのairbnb(エアー・ビー・アンド・ビー)のことです。
今日は、とらぬ狸の皮算用をしてみたいと思います。
記事では、日本での今年1月から10月までの利用が300万人とのこと。利用単価を3000円前後と考えると、日本での年商は約90億円となります。ここでは簡単にするために11月12月を入れ、年商100億円で考えてみましょう。
airbnbの売上は、お客様からいただく予約手数料と宿側から受ける手数料の約6%程度が売上となっています。なので、1年の売上は6億円。
次にコストを考えてみましょう。
採用ページによると、約150人もの募集がされています。少なく見積もっても500人程度の従業員がいる企業でしょうから、世界規模の1割を日本に割いたとしても50人の従業員を食わして行かねばなりません。実際にトラブル対応のオペレータや、事務作業、IT開発作業、訴訟対策などを考えると、これでもかなり少ない人数かもしれません。平均年収を500万円とすると、2億5千万円が人件費に消えます。
airbnbは、宿の提供者の利用者を仲介するとともに、その決済業務もあわせて行っています。お客様から受ける代金はクレジットカード会社を経由して決済するため、カード加盟店の手数料がかかります。ネット信販系のカード手数料は3%前後が主流なので、年商100億として、3億円がお客様からの決済コストに消えます。
次に、宿の提供者へ払うためのコストですが、これは銀行口座間での決済となっています。国際決済は国によってかなり手数料が異なりますが、かなりアバウトに考えても1件あたり100円程度はかかるでしょう。平均宿泊数を3泊と見積もると100万件の送金が必要となり、これだけで1億円の送金手数料がかかります。
ここまでのコストを積み上げると、すでに6億5千万円。もう売上を超えてしまいました。
この他にも、事務所を維持する固定費や、事業の根幹であるネットサーバの維持費、プロモーション活動の費用などが必要です。
決済コストを日本の基準で考えたので、グローバルの決済市場ではもっと低コストの決済機関が存在するかもしれませんが、そうだとしても、黒字が出るんだろうかと心配してしまいます。
記事の中では、民泊の合法化で旅館業界と綱引きしていることが述べられていますが、あまり強く綱を引っ張ると、綱が切れ、どちらもが倒れてしまうような気がしてきました。それは、一番の悲劇です。
宿屋にとっての販売に要するコストは、他の旅行サイトに比べ、airbnbは際立ってローコストです。これを失うことになれば、やはり悲劇です。
世の中では順風のように報じられていますが、本当にそうなのか? 今日は考えてみました。
今日も素晴らしい一日を過ごしましょう。
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