以前は「旧いメルセデスの電機屋」。。。現在は、、、「隙間風産業の超零細企業」の業務日報。。。

旧いメルセデスの電機屋のニッチな仕事のお話。。。http://jun3104.shop19.makeshop.jp/

本当は怖~いクライメートコントロール・・・。

2013-11-30 22:24:13 | 日記
本日、修理車のW124 300E-24V(通称名:最高速号)の修理を完成させてお引渡致しました。

修理内容は電動補助ファンの高速暴走回転によるリレーや配線の溶解・破損修復。。。


弊社入庫時に高速電動補助ファンのコントロール信号を検査致しましたところ何と!

常に信号がON状態で出っ放し・・・。(-_-;


で・・・低速電動補助ファンの信号は逆に圧力SW短絡でもON信号が出ず・・・。


そりゃ・・・高速電動補助ファンは常に高速回転し放しになりますわな・・・。

こうなりますとですね・・・。

ヤバイですわ。。。


バッテリーやオルタネータへの負担も凄いですけれど・・・。

そもそも電動ファンモーターの運転時間の定格って基本は30分以内となってますから30分以上の連続運転はOVER RUNになります。

すると、モーターの温度上昇もさることながら・・・。

軸受も過熱して最悪焼付くことも・・・。

勿論、焼付かないまでもファンモーターの寿命は極端に短くなり・・・。

純正定価で片側6万円以上もする高価なファンモーターを短命に終わらせるばかりか・・・。

過負荷による電流値上昇によって電線やリレーにも負担を強いることになり・・・。

ヒューズが飛んだ時にはリレーもお岩さんになっているケースも多いです。


ノーマルの電動補助ファンのON信号はファンリレーのコイルの85番、マイナス側をアースに落とすことでONとなりますけど・・・。

低速側は赤い圧力SWが規定圧力でONになった際に電流ループが成立して、その状態をクライメートコントロール内部の演算処理装置が電位変化を捉えてN型TrのベースをONにすることでC-E間を導通させてアースに落とす・・・って言うと難しそうですが、つまりクライメートコントロールが圧力SWが入ったと判断して低速側のリレーの85番をアースに落とすということです。

高速側はW/P上のサーモハウジングに装着されている水色の頭の水温センサーの温度変化をクライメートコントロールが捉え、水温が107℃になると高速電動補助ファンリレーの85番をアースに落とします。

と・・・まあ、コレが正常な状態ですが・・・。

今回の最高速号は、、、

低速側の圧力SWのON信号を読まず・・・。

高速側では水温に関係無く85番のラインは常にアースに落ちているといった状況・・・。

コレを修復せな電動補助ファンシステムを幾ら修復・新調したって無駄以外の何物でも無いですね。


お陰様で今回はオーナーさんの手によって電動補助ファンは純正新品交換。

ファンシステムはハーネスを含めて新調してスイッチングシステムを改良。


ここまでやっても・・・。

クライメートコントロールからの指示信号が異常では何の意味も御座居ません。


で・・・この度はクライメートコントロールを外して分解して状況を確認・オペを試みましたが・・・。

既に故障状態になってから数年の歳月が経過していたらしく・・・。

内部の電解コンデンサーの破裂が招いた電解液浸食による基盤やICの腐食が見られましたのでインオペとなりました。。。

従いまして今回は弊社在庫のリビルト品のクライメートパネルと交換して正常状態に復帰。。。

電動補助ファンの正常動作を確認してシステムの修復は完了となりました。


さて、この度の修復作業の中で電動補助ファンのスイッチングシステムを変更という術式を行いました。

コレはノーマルのプラス電源のON-OFFというスイッチング方式からファンモーターのマイナス側をスイッチングするという方式に変更するというものです。

プラス側の電源には低高速共通の電源リレーを新設し、ING信号でON-OFF。

プラス側がONになってもマイナスアース側がONになっていなければファンモーターは回らないのでプラス側でリレー接点で火花が散るという現象も防げます。


プラス側からファンモーターに流れ込んだ電流はマイナス側からボディアースに落ちるところでクライメート信号で断続するリレーによりON-OFFを行うという方式に高低速共に変更致しました。

この様に変更することで、一旦負荷(ファンモーター)に勢いよく流れ込んだ電流がマイナス側に流出する際には減衰されているのでリレーのON-OFF時に火花が出にくくリレーの劣化が抑えられ、結果的にリレーが長寿命化出来るというメリットが得られます。

更に、マイナススイッチング(ローサイドスイッチング)にすることでFETによる無接点リレー回路をマイナス側に組み込んでPWMによる中速回転制御も可能になります。

水温センサーの信号から予めセットした水温に達した時点で演算処理ICから信号を出してPWM回路をONとする。

PWM回路では予めICに設定した周波数の方形波を発生させ、フォトカプラーやコンパレータを用いて綺麗な方形波をユニットから発振させてローサイドスイッチとなるFETモジュールに入力させるというシステムです。

これで一定の周期でON-OFFを超高速で繰り返すのでファンモーターは断続信号で回転上昇が抑制され回転数を制御することが可能となります。

但し・・・。

このPWMには安定化した電源が必須条件になりますので自動車の様なオルタネータの回転数やバッテリーの新旧で大きく電圧が変動する電源には安定化電源回路が必要になります。

PWMの駆動電圧やDUTY比、周波数設定もかなり重要な部分になりますのでDIYで手を出すにはかなり勇気が要ると思います。

この度はこのPWMによるローサイドスイッチング制御システムも最高速号に装備致しました。


さて・・・クライメートコントロールの不良によって発生する症状として電動ファンコントロールの不良が今回の究極的原因でしたが・・・。

他にもヒーターバルブの異常動作・・・エアコン作動時に温風が・・・定番だと思ってヒーターバルブを交換しても治らず・・・。

今年の夏の様に酷暑な時期にA/C全開・・・オーバーヒートでもないのにいきなりエアコンがエコノミー動作に・・・。

まあ、結構色々な異常動作を引き起こしてくれますがV8モデルの場合はGMモジュール、直4,6モデル(除く24V)の場合はエアコンリレー、300E-24VやAMG 3.4-24Vの場合はMASコントロールユニットとコラボの異常動作ってのも実際に御座居ます。

今回の最高速号もそうでした・・・。

MASコントロールユニット内部のA/Cコンプレッサークラッチコントロール部分の半導体不良により、何でもないのにA/Cコンプレッサークラッチが離れてしまうというトラブルのお手伝いをしておりました・・・。


たかがエアコン・・・されどエアコン・・・。

制御システムを舐めてかかっていると怖いですねー。くわばらくわばら・・・。Σ(○_○lll


御心配なユーザーさんは早目に点検を!


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