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街角の書店 18の奇妙な物語

2015年09月02日 | SF
副題にあるとおり奇妙な味、のアンソロジーですが、
どの作品が面白いのかは好みで分かれるところでしょう。
面白い、と書きましたが、どちらかというとホラー風味に偏っています。

好みはロナルド・ダンカン「姉の夫」、ゼラズニイ「ボルジアの手」。
「ボルジアの手」はゼラズニイの短編集未収録のショートストーリー。
久しぶりですゼラズニイの短編。
オチはなんとなく予想できますが、
チェーザレ・ボルジア、ナポレオン、ヒットラーを
「右手」でつなげたアイデアはいいですね。
ゼラズニイは短編作家だと思うんですが、短編集が2冊しか出ていないのが惜しい。

「姉の夫」は最後のオチに驚いたら、
もう一度前のページを読んでみて周到な伏線に感服する一編。
筋に合わない部分もあるけれど、それはそれ。
現代版M・R・ジェイムズみたいで良かった。

編者のおすすめ3編「お告げ」「街角の書店」「肥満翼賛クラブ」には
かすりもしなかったので申しわけなく思います。
「街角の書店」の作者ネルスン・ボンドは、
国書刊行会から出ていた「グラックの卵」(浅倉久志編)に、
「見よ、かの巨鳥よ!」がトップ作品として収録されていましたね。
たしかに編者の中村融が書いているように、作品の順番も非常に大切。
ウィルヘルム「遭遇」は解説にあるような
SF解釈を頭ひねって考えていますが、まったく思いつかず。
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