spin out

チラシの裏

シャム双子の秘密

2014年12月11日 | Eクイーン
ギリシャ棺以降の国名シリーズは方向性が定まらないというか、
ミステリだけではない「なにか」を作品に盛り込もうとしていた、ような気がします。
犯人捜しより、山火事の迫る屋敷内の人間ドラマのほうにインパクトがある、
というのも「ミステリ以外のなにかを加える」ことの効果のあらわれか。
その結果ミステリパートがイマイチになってしまったという皮肉な評価にも。

今回の表紙イラストはエラリーだけ。一緒に双子を描く、ってのは無理なんでしょう。
いっそ「スペイン岬」の表紙は、すっ裸のエラリーでどうっすか。
裸のエラリーの背後で腕組みしているヴェリー部長の絵づらって。
(話の中で裸になるのは被害者ですが)。BL好きな婦女子の方々にウケるような。
(シャム双子の中ではエラリーが裸でベッドに寝ている場面がありましたケド)。
旧創元文庫版の「スペイン岬」の表紙は、牛の顔の形になっているスペインの地図で、
そこはかとないユーモアがありました。

結局国名シリーズを終えたあと、営業用のハリウッド3部作を書き、
数年の沈黙をへて発表した「厄災の町」がミステリであってミステリだけではない作品、
それは国名シリーズ後半の「あがき」の結実、と言えるのでは。

その「厄災の町」はハヤカワ文庫から新訳版が出ました。
なんと「九尾の猫」も新訳されるそう。
思いもかけぬクイーンフィーバー。

後期クイーンのベスト3は「厄災の町」「九尾の猫」「十日間の不思議」だそうです。
異論はないですが、「ダブル・ダブル」「最後の一撃」「盤面の敵」も新訳で出してくれないかなあ。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« オメガ・ポイント | トップ | 宇宙生命SF傑作選 黒い破壊者 »

コメントを投稿

Eクイーン」カテゴリの最新記事