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八つ墓村とギャルゲー

2013年04月12日 | ミステリ
解説は元宝石の編集長の大坪直行で、
その解説に「八つ墓村は坂口安吾の「不連続殺人事件」への挑戦」と書いてあります。
(この解説は現行本に載っているのでしょうか)
それもありますが、クイーンの「Yの悲劇」からの借り物も。
(殺人計画の立案者と実行者が別)

横溝正史はこのアイデアが好きらしく、よく採用してます。
「獄門島」もそうだし、「本陣殺人事件」も半分くらいそうですよね。
黒岩涙香の路線で書いたとされる冒険推理小説で、
「本陣」や「獄門島」とはちょっと方向の違う作品であることは読んでみると分かります。
その一番は一人称形式であることと、金田一耕助の視点が極度に控えてあること。
昔はこの点が気に入らなかったのですが、今読み返すとやたらに面白いですね。

で、この主人公は母親と義父に育てられ、母親が亡くなったあとは継母に養育され、
家に居づらくなって外で働く、という設定になっています。
これは、横溝正史本人の青年期とよく似ていて、自分の過去を投影した主人公ともいえます。

そして、主人公の背中に残る火傷のあと。おお乱歩の「孤島の鬼」じゃないですか!

さらにヒロインが3人も登場してますよ。
未亡人の森美也子と多治見春代、イトコの里村典子、

森美也子が眉目秀麗・頭脳明晰・才色兼備の生徒会長タイプとすれば


入須先輩ではちょっと違うか…


多治見春代は天然癒し系の年上お姉さまタイプ、

東条先輩は天然でも癒し系でもないですが、なんとなく見た目が


里村典子はお兄さまに身も心も尽くす妹タイプ、

妹というより幼馴染ですね


キミは誰を選ぶ?みたいなギャルゲー風に解釈すると、いろんなルートがある?(ねえよ)。

↑やっぱりボロボロのS47年の7刷
まだ杉本一文のイラストも大人しいころでした。
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