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探偵小説昔話

2013年04月19日 | ミステリ
密林を見ていたら「横溝正史研究」なんて雑誌が出ているんですネ(現在5号まで)。
その雑誌の密林でのコメントに
「横溝正史が戦後になるまでなぜ本格ものを書かなかったのか」
という一文があり、ちょっと考えてみたくなったわけです。

で、うちにある横溝正史関係の本を引っ張り出していたら、
講談社の横溝正史全集2期の18巻「探偵小説昔話」を持っていなかったことに気づいて愕然呆然。
2期のころはもう横溝正史への興味が薄れ「そのうち買えばいいや」と思って幾星霜。
金を惜しまず買っておけばよかったとホゾをかんでも後の祭り。
同じく密林で探すとけっこうな値がついているなあ。
2期全集のキキ目ですからね。

しばらくPCで探していたら、
なんと電子書籍で古書の10分の1くらいの値段で売ってるじゃないですか。

これは電子書籍の「探偵小説昔話」を買うしかないっすね。
プリペイド決済できるBOOKLIVEにして(クレカを持っていないため)、
手続きと支払いをして即日ダウンロード。
ついでに「金田一耕助のモノローグ」と「終末期の赤い地球」(ジャック・ヴァンス)も購入。
「探偵小説昔話」は一日で読了しました。
「探偵小説昔話」は講談社横溝正史全集1期の「探偵小説五十年」と対になるような本ですね。
※電子書籍版「探偵小説昔話」は「日記」と「経歴・作品表」が割愛されていました。日記が無いのは残念を通り越して無念。
遺族の意向かも。それとBOOKLIVEは本が少ないなあ。海外SFは120冊しかないって。




本題の「横溝正史が戦後になるまでなぜ本格ものを書かなかったのか」ですが、
1状況が本格ミステリの執筆を許さなかった
2正史、乱歩を含めて本格ミステリの概念をだれも理解していなかった
3戦前から戦中にかけて正史は自分の作風を確立しようとする途中だった
4人形佐七が正史流本格ミステリへのジャンプボードだった
乱暴にまとめてみると、この4点ではないかと。

久しぶりに「横溝正史の世界」(幻影城1976年5月増刊No.18)を読んでみたら、
「ロマンの遍歴者」(大内茂男)、「人形佐七捕物帳の魅力」(高橋秀博)とともに、
「横溝正史作品事典」の二上洋一の解題がすばらしい。
とくに二上洋一の解題は示唆に富んで、もう一回作品を読んでみたくなります。
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