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奇跡なす者たち その2

2011年10月03日 | SF
ジャック・ヴァンス「奇跡なす者たち」
「最後の城」は、ヴァンスが日本の伝統社会の様式的主従関係の一文からアイデアを得たそうです(解説より)。
読んでいてそんな気もしていたのですが、いつの時代の日本なのでしょうね? 
飛鳥時代の部民制かも。

SFでありながらファンタジイ色が濃い作風はさておき、
ヴァンスの宇宙にはときとして異星人や異星生物が人類の奴隷として登場します。
しかも奴隷たちは明らかに優生学的な遺伝子操作を加えられて人類に隷属している状態が多いのですね。
例として『奇跡なす者たち』では「最後の城」に出てくるメック、フェーン、農奴など。
『竜を駆る種族』の竜もそうでしたし『アダム・リースシリーズ』に出てくる異星人種も、
魔王子の第二巻『殺戮機械』の魔王子もたしかそんな種族だったような記憶があります。

クイーンの『Yの悲劇』を「優生学的思想で書かれている」と批判したのが天城一で、
小栗虫太郎の『黒死館殺人事件』ではまさにそれがモチーフになっています。

で、エラリー・クイーン名義でミステリのペーパーバックを何作か書いているヴァンスですが、
ヴァンス本人が優生学的思想でSFを書いているのかどうかは分りません。
しかし、妙な倫理的違和感があるのは確かで、そこがヴァンスの魅力であるエキゾティック性なのではと思います。

なんと、国書刊行会から「ジャック・ヴァンス コレクション」が出る予定だそうです。
「レム コレクション」よりさらにニッチなヴァンスコレクション、実現して欲しい!
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