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戦中派動乱日記

2013年08月08日 | ミステリ
山田風太郎が医大を卒業して作家に専念するころの日記で、
執筆量と読書量が半端なくすごいのですが、
独身なので飲む・買うのイキオイもすごい。

昔「戦中派不戦日記」を読んだときにも思えたのですが、
読書の幅と量はホントにすごい。
その上作品をもりもり書いているんだから天才は違いますね。
読書時には【読】としか書いていないのですが、たまに感想が付けてあります。

田村泰次郎「地獄から来た女」は「愚作愚作大愚作」とバンザイものの感想が付いてました。
大下宇陀児「火星美人」「風船殺人」にも愚作、
江戸川乱歩「断崖」乱歩全作品の中で最劣等に愚作、
野村胡堂「三万両五十三次」駄作(ええーっ、今読んでいるんだけどな)。

久生十蘭「勝負」には驚倒する、
ウィリアム・アイリッシュ「幻の女」傑作、
ウールリッチ「黒衣の花嫁」感服、等等…

で、山田風太郎が酔っ払った女流探偵小説家の宮野叢子にせまられて一緒に寝たこと(「手は出さなかった」)も。
「大坪砂男は色魔だ!」と宮野叢子が叫んでいたそうです。ふーん?
山田風太郎と大坪砂男とは普通につきあっていたように書いてあるので、
数年後の「魔童子論争」の意図は何だったのか気になります。



大坪砂男全集4巻「零人」には、その「魔童子論争」のやりとりが収録されています。
全文を読むと論争と言うより罵詈雑言の投げ合いに終始してます。
「零人」には当時の大坪砂男とつきあっていた人たちによる
大坪砂男の印象を書いた文章が収められていますが、
宮野叢子の文章には「山田風太郎に逃げられた」とも書いてあり、
一体なにがあったのか。
晩年の大坪砂男自身が、作品と同じくらいに幻想的です。

しかし、「零人」最大の驚愕は、大坪砂男の孫が虚淵玄!

「まどか☆マギカ」「サイコパス」「ガルガンティア」の脚本家が大坪砂男の孫だったとは!




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