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チラシの裏

退屈の虫が

2012年06月07日 | others
旗本退屈男といえば、映画では市川右太衛門の当たり役、持ち役ですが、
原作の小説を書いたのは作家の佐々木味津三です。
小説の退屈男は、退屈のあまり日本各地に出没しますが、
収録されているのが発表順だとすれば、
退屈男は江戸、京都と舞台を移して次は大阪かという予想を裏切って、
いきなり三河に現れます。
徳川家発祥の地でもありますが、じつは佐々木味津三の出身地でもあります(愛知県北設楽郡設楽町)。

映画の旗本退屈男は事件に巻き込まれたあげく、事件の核心が地方にあると見てとると、
「長崎か・・・」などとつぶやきながらすでに街道を歩いている。
豪華な着流しで笠もかぶらずに歩いていると、江戸からは女すりあたりが後をつけている様子。
それを知りながら、「この主水之介の懐中、見事掏りとったならば、本所割下水の屋敷へ来い、褒美をつかわす」なんて無茶なことを言ってます。
ま、女すりは主水之介に惚れて「御前」とか言って味方になっちゃうんですがね。
長崎へ着くと、月形龍之介が演じる異人屋敷の主で謎の中国人、
じつは関が原の戦いで断絶した長宗我部家の末裔を倒してあっぱれ日本晴れ。

たしか、長崎異人屋敷の謎とか、そんな作品だったような(調べたらそんな名前の作品はない)。
これは映画の話ですが、原作はもっとノンビリしていて、ユーモア小説みたいです。
「よよっ!」とか、
「へ?」「へ、ではない」、
など漫才の台本みたいな感じでもあります。

■旗本退屈男 佐々木味津三 春陽文庫
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2 コメント

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Unknown (cold_sleeper)
2012-07-05 17:25:40
うむむ、春陽文庫の旧版はこんなカヴァー画でありましたか。
実は映像化された作品はひとつも観たことがなくて、時代劇自体ほんのごく最近見始めたばかりであります。なんか無理に見せ場(概ねチャンバラ)を作ろうとする意図がみえみえでずっと敬遠してました。そのくせ「観たい」と思ってる作品が容易には手に入らない。

佐々木味津三は結構な苦労人で、努めて作品は明るい話題(書き口)を好んだ模様です。
Unknown (spin out)
2012-07-08 00:30:24
昭和26年初版の、この本は昭和49年に27刷です。残念ながら絵師のクレジットはどこにもありません。このへんが春陽文庫らしいです。
たしかに東映時代劇は、ラストの大立ち回りのカタルシスが売りのようなものですからね。
時代劇は需要が少ないのか、有名(監督)作品以外はDVDにならないのでしょうか。

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