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ライツヴィルカルテット その2

2019年06月25日 | Eクイーン
「ダブル・ダブル」
過去作品のパーツを集めて焼き直した、ライツヴィル版「靴に棲む老婆」。
そのためか、他の3作とくらべて前期クイーン作の持つ明るい雰囲気が残っています。
「十日間の不思議」(と「九尾の猫」)で戦っていた神さまもどうやら戦闘に疲れたらしく、
ルーティンワークに戻ってハリウッド3部作(「ハートの4」など)のようなお気楽路線に立ち戻りのようです。
童謡連続殺人も、「チーフ」と「立ち合いが2回」という事実から
エラリーの薄弱な推論がたまたま犯人を射とめただけ。
ある人物が知らぬ存ぜぬを言い張ったら、逮捕されなかったのでは?
ものごとには「真実」と「真実のように見えるもの」の両面がある、などという説教を垂れるエラリーは、
謎解き探偵小説のラティチュードたる「探偵の役目」を放棄しており、
下手なハードボイルド作品の主人公気取りで右往左往するだけ。
後半ドライブ感が増してくるのですが、トリックも捻ったプロットもない分、
「本格探偵小説」というより「連続殺人サスペンス」寄りの作品でしょう。

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